最強・無敵のJK♡芹沢小鳥♡は強さ隠して今日も可愛く生きるのだ!という話

珈琲パンダ

第1話 プロローグ♡カモさん

「新入生の皆さん!入学おめでとう!本日から皆さんは本校の一員として…」

新入生が集められたアリーナでは、校長先生の講話が続いていた。

入学して記念すべき1日目、誰しもが期待と不安を抱えて静かに椅子に座っていた。

しばらくして入学式の式典が終わり、クラスが発表されると生徒たちは指示された各クラスに向かった。


「なぁ、聞いたことあるか?」

「え?何?」

「この学校、実はとんでもないヤカラが居るらしいぞ」

「は?なにそれ?うち進学校だぞ!?」

「2年に居るらしいけど、学校のタブーらしい…」

「いや、おかしいだろ!?とんでもないヤカラ?」

「なんでも喧嘩で、5人を一瞬にして叩きのめしたとか」

「マジ?」

「街のヤンキー片っ端から倒したとか」

「え?」

「振り込め詐欺グループ壊滅したとか」

「???」

「ヤクザの事務所に殴り込んだとか?」

「いや、学校関係なくね?」

「とにかく悪魔みたいな強さらしい」

「まじかよ。どんな厳つい先輩なんだろうな?」

「わっかんねーけど、こう呼ばれてるみたいだよ」

「呼ばれ方?」

「うん。明和高校始まって以来の最凶、最悪の悪魔 カモって言うらしい…」

「まじか…加茂?鴨?賀茂?って人か…要注意だな」

「でも、そんな強いならちょっと見てみたいけどな!」


新入生の男子生徒二人は、同じ中学だったのか、同じ塾だったのか、入学時点で知り合いだったようだ。彼らは何やら噂話をしていた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

入学式の翌日の朝


「おいおい!この坊っちゃん。マジ舐めてんですけど!?」

「お前、マジ殺すぞ!?」

3人の街の不良は、街角でぶつかった男子高校生を捕まえて睨みつけていた。


「す、すみません。急いでたもので!」

高校生はひたすら頭を下げた。人もまばらな駅の裏道、人の通りは少しだけあったが、誰もが見てみぬふりをした。


「ごめんで済んだら、警察いらねーよな!」

「おい、ガキ!お前選べ!お前、俺らにぶつかったんだから、殴られるか?慰謝料!5万払うか!?」

不良たちは男子生徒に更に凄んでみせた。


「す、すみません!でもぶつかったのは僕じゃなくて、そちらでは…」

「ああ!?てめぇ!ぶつかったんだろうが!」

「お前、マジ舐めてんな!家燃やすぞ!」


不良の一人は、高校生の顔を思い切りビンタした。

「うわあ!」

高校生は思わず悲鳴を上げるとその場に座り込んだ。


「なあ、お前次はグーで殴るぞ。金持ってくるか?」

「お前、明和高校か?じゃあ、金持ってんな?」

「ああ、お坊ちゃん高校だもんな。たっぷり払ってもらわねーとな」

不良たちは、座り込んでいる高校生を上から見下ろしていた。


「ねぇ、その子、ウチの学校みたいなんだけどどうしたの?」

突然目の前にスラッとした髪の長い明和高校の女子学生が現れた。


「ああ?何だこのアマ!?」

「関係ないやつは引っ込んでろ!」

不良たちは、女子生徒に凄んだ。


「ねぇ、アナタ1年生でしょ。今日ってオリエンテーションでしょ。早く行かないとじゃない。私説明の手伝い係なんだよねー」

女子生徒は不良達を無視して、男子高校生を、母親が子供立たせるようにして立たせた。


「てめぇ!何勝手なことやってんだ!」

不良の一人はブチギレながら叫んだ。


「まぁ、待てよ。この女よく見りゃめちゃくちゃ美人じゃね?」

不良の別の男はニヤニヤしながら、女子生徒を見た。

黒くキレイに伸びた髪は腰の近くまで伸びており、赤い紐で結ばれていた。

背は女子にしては高く170cmくらいあった、ほっそりしておりスタイルがとても良かった。鼻筋が高く大きくて優しげな目元とやや薄い唇。

清楚・可憐な女優かモデルと言われても納得するほどの美しい少女だった。


「なあ、アンタがコイツの先輩なんだろ。じゃあ、アンタが話聞いてくれるか?」

「へへへ!お姉ちゃんこの後俺らと良いことしない?」

「俺ら鬼畜系だからよ。もう逃さねーけどな!あははは」

男たちは、女子生徒を捕まえようと手を伸ばしたその瞬間。

「ピリリリリリリリリ!」

物凄い音の警報音が鳴り響いた。女子生徒が携帯用の防犯ブザーを躊躇なく鳴らしたのだった。


「きゃああああああ!!助けてー!!」

間髪入れずに警報音と同じくらいの大音量で女子生徒が叫んだ。

かなり遠くに居る通行人も一斉に女子生徒をみた。

女子生徒はドヤ顔で不良達を見てニヤリと笑った。


傍目に見ると女子生徒が、不良に絡まれている場面に見えたのは当然であろう。

中には携帯で撮影しようとするものや、通報のためか電話を掛ける人も居た。


「な!?ちょ!待てよ!」

「く!これはやべーな!」

「こいつ!?話にならねー!」

不良たちは大音量の警報音に動揺した。


数分もしないうちにこの騒ぎに駆けつけた警官が2名、小走りに走り寄ってきていた。

「おい!お前ら!何してる!あ!またお前かぁ!」

警官の一人は大きな声で言った。


「やべ!おい!行くぞ!」

「っち!」

「てめぇら!覚えてろ!」

不良たちは警官を見るとあっという間に逃げ去った。


「ふぅ。よかったね~無事だった?」

女子生徒は笑顔で男子高校生に向かって言った。先程悲鳴を上げた人物とは思えないほど嘘みたいに落ち着いていた。そしてその容姿の可憐さに高校生は思わず息を呑んだ。


「あ、ありがとうございました。助かりました!」

男性高校生は頭を深々と頭を下げた。


「ああ、いいよいいよ。気にすんな!てか、これ遅刻じゃない!?ヤバ!君も急ぎな!」

そういうと女子生徒は警官の方に目をやると「やばい!」と言う顔をして、自転車に飛び乗るとあっという間に走り去ってしまった。

髪が風でなびいてスカートが少しめくれて、男子高校生は思わずドキリとした。


「あ、先輩!お名前は!?」

高校生は女子生徒に向かって叫んだが、女子生徒はもう既に居なくなっていた。

息を切らせて駆けつけた警察に事情を聞かれ、この男子高校生は結局大幅に遅刻する事になった。


「災難だったね。この辺りはチンピラみたいな不良も多いからね。特に明和高校の生徒は狙われやすいから気をつけるんだよ。歩きスマホとかは絶対ダメ!からかい半分で狙われるから!」

中年の警察官は高校生に言った。


「はい。すみません。気をつけます」

男子高校生は神妙な顔をしていった。


「まぁ、でもラッキーだったな…」

「ああ、良かったよ。大事にならなくて…」

警官二人は男子生徒そっちのけで、うんざり顔で話し始めた。


「本当にありがとうございました。お巡りさん来てくれなかったら、僕だけじゃなくあの女の先輩もどうなっていたか…」

男性高校生は深々と警官二人に下げた。

それを見た警官二人は、思わず吹き出した。


「ははは!違う違う!ラッキーだったのはあの不良たちだよ」

「君も明和高校の生徒なら、聞いたことあるんじゃない?」

「え?」

「最強で最悪、彼女が暴れた後には何も残らないで有名だよ。あははは」

「所轄の少年課や安全生活課はこう呼ぶよ 「天使と悪魔の少女」とか「令和の女局長」ってね!君も気をつけることだね!」

警官二人は、口だけでアハハハと笑い、そそくさと帰っていった。

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