異世界天才!?いや、俺教師免許は持ってます!あ…先生になる前にここに来たんですが…〜異世界で上手く生きる術を俺が全部教えてやる!〜

泳田颯

第1話 先生1日目?

 ピピピッ……


「ん……なんだ、もう朝か……」


 外ではスズメがチュンチュンと鳴き、絵に描いたような朝の訪れを感じざるを得ない。

 枕元にあるはずの携帯を目も開けずにどうにか手のみを動かし探し当てる。

 その間も絶えずアラームの音は俺を苛立たせるかの如くけたたましく鳴り続けるのだった。


「うるさいなぁ……」


 見つけた携帯を操作し、ひとまずこの部屋には静寂が訪れた。

 いつも通り、もう一眠りしようかとうとうとし始めたところで母親が何か言いながら二階にある俺の部屋は向かってきているのがなんとなくわかった。

 徐々に大きくなる母の声。「騒がしいなぁ」そんなことを考えながら眠りにつこうとした時部屋の扉がガチャリと音をたてて開いた。


「翔太、あんた今日から学校でしょ!起きなさい、遅刻するわよ!」


 バタン


 それだけ言って母は一階へ戻った。


 …

 ……

 ………


 しまったしまったしまった……!

 そうだ、今日は教員として働く初日だった。

 今までの昼夜逆転生活とはおさらばして清く正しくきちんとした先生として生活する一日目であった。


 急いで、布団から出てカーテンを開ける。

 眩しくて目がくらむがそれどころではない、携帯で時間を確認すると気合を入れて早起きだ!と意気込んでいた時刻からもう一時間も過ぎていた。


 とりあえずスーツは羽織るだけの不恰好な姿でどたどた足音を立てながら一階にあるリビングへ向かう。

 テーブルには朝食のトーストが置いてあり、新聞を広げた父が一瞬こちらに目をやったが「騒がしい奴だ」とボヤきながらまた新聞に目を戻した。


「母さん、俺のネクタイ知らない?」


 キッチンで洗い物をしていた母が水を止めながら

「なんで、昨日のうちに用意しておかないの!?準備してから寝なさいってお母さん言ったよ!」

 と言いながらネクタイを探し始めた。


「先に顔洗ってきなさい」


 と母に洗顔やらを促されたので洗面所に向かった。

 ここでもまた試練だ……


 高校生の反抗期真っ只中の妹がアイロン?とか言うやつで髪をセットしている。


「ちょっとどいて、俺急いでんの」


 そう言うと鬼の形相になりながら妹は

「は?お兄ちゃんが寝坊するのが悪いじゃん、まだ私準備してるの、順番守ってよ」

 ぐう正論である。だけど、今日だけは俺のわがままを聞いてくれと言う思いを伝えながらどうにか場所をぶんどる。

 妹はブチギレながら「お母さん!お兄ちゃんが!」と小さな子供のように母にチクりにいった。


 そんなこんなで準備を済ませ、リビングで朝食のトーストをこれでもかと言うくらい口に含み、口の中の水分が無くなったくらいのタイミングで母がネクタイを見つけてくれた。


 久しぶりにつけるネクタイにまた少し時間を取られたが無事最低限家を出なければならない時間に家を出ることができた。


「よし……行ってきます!」


 気合いを入れるように大きめの声で喝を入れ春の暖かな日差しの中俺は歩き始めた。

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