踏み出す勇気が出ない
おいていかれる感覚が怖い。
気持ちに向き合った成功例を見せられてもまだ怖い。
「あ、あの」
今までの関係が壊れることが怖い。
悠里とはずっと仲良くいたい。
そんな気持ちが膨らんで、悲しくて、遠くに行って欲しくなくて、親友という関係じゃ満足できなくなってるのかもしれない。
でもその先まで行く勇気がない。
踏み出して、失敗したら追い出される。
きっと悠里はドアを閉めてまた鍵を掛ける。
あの先輩が来なければそんなことを考えずにいられたのに、先輩のせいであたしは常に焦ってる。
「ねぇ?」
先輩の方が大切になったらどうしよう。
友達より好きな人を優先するのはなんとなく分かる気がするし、なにより友達が強く一緒にいようなんて言えない。
だからあたしが悠里にとって一番大切な存在になりたい。
好きだから
「夕夏ちゃん!」
大きな声にハッとする
「えっ!?あ、な、なに?」
「な、なにって。どうしたの?」
何を考えてたんだっけ。
忘れてしまう。
「ゆ、夕夏ちゃん最近変だよ?」
変なのは分かってる。
変にしてるのは先輩なんだ
どうしたら、悠里を、悠里に、気持ちを伝えたらいいのか分からない。
「ご、ごめんね。悠里。あ、うん。ごめん。勝手に連れ出しちゃって。悠里の家まで送るよ」
「えっ?あっ」
頭がグルグルする。
目を瞑ってすこし落ち着かなきゃ。
悠里を振り回すのは良くない。悠里も困ってる。
「いいよ?夕夏ちゃんの家行こう?夕夏ちゃん料理作れるの?」
「え?あ、う、うん」
「じゃあ食べたいな。待ち合わせなのにごめんね。恋先輩といたら変わらないよね」
なんで謝るの。
悠里は逆に手を握り返してそう言ってくる。
優しいな。
あたしが悪いのに、悠里は関係を取り持とうとしてくれるんだ。
「いや、あたしこそごめん」
「うん。じゃあ行こっか」
悠里は引っ張ったあたしの隣に立ってあたしの歩幅に合わせて歩き出す
あぁ頭がクラクラしちゃう。
悔しいことにあの先輩と悠里が出会ってから、さらに悠里が優しくて可愛くなってる気がしちゃう。
こっちを見てくる悠里の眼を、あたしはその時見れなかった
あたしはまだそのラインの前でもじもじとラインを超える理由を探している
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