あの子を探す
あまりにも、あまりにもタチが悪い
あの宣言から三日経った。見事に今週学校で会わずに一週間が終わろうとしてる。
保健室から出なくてもあっちから会いにきてるかなとか思っていたけどそんなことはなかった。
今まで何も言わなくても保健室に来てたのに急に来なくなった悠里。
多分外を見ても陸上部のあの子はいなかったからきっとあの子の仕業。
タチが悪い。正直あの子の話術を舐めていたのかもしれない。
朝、昼、放課後の三回のタイミングで保健室に来る全てのタイミングを潰すなんて。
それも三日連続。
彼女、意外と頭が回るんでしょうね。
ここの高校は勉強だけじゃなくて嫌がらせが得意な子も多いのね
まぁ、嫌がらせ自体のレベルが低い。イライラする
まぁそんなこと言ってる私は今回踊らされてしまっているわけなのだけど
「やられた...」
はぁと肩を落とす。
放課後に教師用の昇降口で待っててって悠里に言われたから待ってるんだけど一向に来ない。
まぁ直接じゃなくて養護教諭のしーちゃんに伝言として言われたんだけど
「あんたが好き好き言ってる子から伝言だってさ。『話があるから放課後、教師用の昇降口で待っててください。委員会終わったら行きます』って」
あっちから呼び出されたの初めてだからテンション上がっちゃったけど、よく考えたらこの言い方だと人づてに伝言を預かったみたい。
「やられた」
なんか本当に逃げ切られそうな気がする。
あの子は悠里のことを分かってるんだろうな。
だからこそここまで私に近づけないようにしてきた。
「探すしかないのね...」
ただもうこの時間だと帰っちゃってる。
どうしたものかしら。
そんなことを思いながら私は保健室に靴を取りに行く
外を見て、今日はあの子が練習してるのを確認したからその隙に帰ることにした。
校門まで、校門を抜けてから、色んな人に二度見される。
誰よりも早く来て、誰よりも遅く帰ってたから人に会わなかった分こんな人がいたのかと思われてるのが分かる。
特進の人間、そうじゃない人間。
別に関係ない。
「うわ、あれ高杉?いたんだ」
関係ない。
「まだいんのかよ」
関係ない。
だってこんな格好してたらそりゃ目立つ。
そういえば三年は部活がないんだっけ。だから同じ学年の特進の人が目に入るんだ。
「あれ誰?あんな金髪知らないんだけど」
「ほらあれだよ。保健室の」
「マジで!?めっちゃ可愛いな...」
びっくりしたかな?
男子に褒められるのは悪い気はしないな。
悠里だったらもっと嬉しい
私は顔に出さずにただ歩く
「最近の片桐とかもだけど、ここ結構レベル高い?」
「いや、まぁトントンでしょ。ガリ勉もいるし」
それはひどい言い草だな。相手は女の子なのに。
それにしてもどこにいるのかな。
とりあえず、前に数学のノート返すために向かった場所に行こうかな
とにかく探そう。
悠里は多分学校にはいない。
普通だったら嫌われてる私がわざわざ探すことは考えにくいから部活終わるまでどこかで待ってもらうはずだけど
悠里とあの子が喧嘩した時にあの子は私を見てる。
きっとあの子からしたら私は悠里といるためなら学校をうろつく覚悟を持った人に見えるはず。
だから悠里は多分学校内にはいない。
校庭を見ても悠里の姿はない。
なら普通に下校してるって考えるのが普通かな
普通だったらどこかで待ってもらって一緒に帰るんだろうけど、それを捨てても私と悠里を一緒にするつもりはないみたい。
嫉妬深いなあの子
「とにかく、外ね...」
走りたくない。
あの四階まで続く階段登るのですらしんどいし運動も苦手なのに探さなきゃならないは本当にしんどい。
「探さなきゃ…」
でも歩き出す。
とにかく探す。彼女を見つけるために
悠里はどうだろう。私に会いたいと思ってくれるだろうか。
いや、関係ない。私が会いたいんだもの。
彼女のパーソナルな部分を、考えてどこにいるか考えればわかる。
ならきっと会えるはず
「あ…」
ほら、閃いた。
多分あの子はあそこにいる。
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