遊びに行こうよ!

 ここ最近の時間の流れが早く感じる悠里

 それはいつもと違い何かが起きているから。


 常に身の回りに変化が起きている。


 ただそれは許せない。


 彼女と彼女の親友二人きりの空気感で固まった時間が第三者によって狂わされてきている。

 だから、固める。


 二人の空気感、それを大切に守るために。


「悠里!帰ろ!」


 悠里の後ろから突然抱きつく夕夏


「ゆ、夕夏ちゃん?部活は?」


 喧嘩した翌日のスキンシップに戸惑いながらも悠里は夕夏が怒ってないことに安心する。


「サボる」


 直感的に夕夏の機嫌があまり治ってないことを悟る悠里

 夕夏が大好きな部活をサボる時、それは何かあった時と相場は決まっている。


 テストで珍しく悪い点を取った時、陸上の記録会で思うような結果が出なかった時の翌日

 気持ちの整理のような感覚で夕夏は部活をサボる


 少なくとも上機嫌すぎて部活をサボるってことはなかったから悠里は少し身構える


「う、うん!わかった!あ、でも恋先輩…」

「いいじゃん!大丈夫だよ!」


 夕夏は無理やり手を引いて駆け出す。

 悠里が言い切る前に夕夏はすぐ切り出す、


 何を言いたいかなんてすぐ予想がつく、でも言葉にさせない

 悠里は頑固だけど押しに弱いから押さえ込めばどうにかなるのを夕夏はわかってた。


「どこに行こうか!遊ぼうよ!」

「え。あ、うん!」


 ただ楽しそうな夕夏に悠里は押される

 彼女の機嫌がいいのか悪いのかわからなかった。

 でも、楽しそうな顔をしていたから悠里は何も聞かずについていく。


「じゃあさ!カラオケ行こ!カラオケ!」

「うん!」


 夕夏はさっきより強く悠里の手を握りしめ、悠里はそれに応えるように強く握り返す

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