どうかわたしを嫌いにならないでください

「好き」が幸せ

「好き」を振りまいてた

　わたしは「好き」って伝えることが好きだった。

　お母さんやお父さんから「好き」って言われることが多くて、「好き」って言われると幸せな気分になる。だから他の人にもこの気持ちを分けようとなにかと「好き」と言っていた。

　だからか分からないけど好かれることが凄い多かった。男の子とかいろんな人から好きって言われた。

　小学校の頃は別に付き合うとかもないから、それを笑って受け入れてた。

　だから友達もいっぱい。今のわたしからは想像も出来ないだろうけど本当なんだよ。

　男の子からも女の子からもいっぱい好きをもらって、わたしもそんな「好き」をいっぱい返して。幸せな毎日だなって思ってた。

　ただ年齢が上がると、そうやって上がるに比例してわたしに好きと言ってくれる人は減ってきた。

　というか、わたしと同じ意味で言ってくれる人が減った。でも相変わらず好きって言われることは多かったよ。ただやっぱり年が上がると男の子に言われることが多くなったかな。

　両想いとか言われて茶化されたこともあったよ。

　でもさその時のわたしって頭がお花畑のようにふわふわしてたからなんにも気にしてなかった。

　そうだねー好きだねーくらい。

　でもある日、小学校四年生くらいかな？ゆうじくんって男の子にいわれたの。

　今考えたら凄いませてるんだけどさ

「付き合ってくれ」

　って言われたの。ただ付き合うの意味が良くわからなかったから、少し考えたの

「付き合う？」

　付き合うってなんだろ。

　ドラマとかでよくあるけど子供の頃のわたしには何をするものなのかわからなかったんだ。だから

「ありがとう。でもそういうのは…大人になってからだよね」

　そうやってやんわりと断った。やっぱりよくわかんないし

　昔は好きって言われたらありがとうわたしも好きだよって答えればよかったけど

　どんどん成長していくとはっきりとした目的を持つようになるんだよね

　別にめんどくさいとかじゃないんだよ？でも私の好きはそういうのじゃないからさ

　丁寧に断った。

　傷ついてほしくないからさ。

　そうやって何度か告白されることがあったけどさ、なんて言うんだろ？若かりし日の過ち？みたいな風に流して今まで通り色んな人と遊んだりお話したりしたよ。

　それに一年生の頃から色んな人に「好き」って言ってたから、多分みんな分かってたんだろうね。

　それにその頃は夕夏ちゃんみたいに優しくわたしと一緒にいてくれる親友みたいな女の子も何人かいたんだよ。

「好き」って友達みんなで言い合ってさ。笑って幸せな気分になってた。

　こういう人だったんだよわたし。明るくてビックリするよね。

　今でもわたしだとは思えないけどさ、たしかだったんだよ。

　ほんと...すっごい辛い。

　なんでこんなことしてたんだろうね

　なんで気付かなかったんだろ

　なんで、傷つけてるって分からなかったんだろ。

　聞いてるだけだと悠里はとっても饒舌で辛いって言いながらも時には楽しい思い出を話すみたいに教えてくれた。

「「びっくりしない。それに、悠里は何も悪くない」」

　話を聞いた過去の夕夏と現在の恋がリンクする。

　ただそんな言葉は悠里には響いていない

「「何があったの？」」

　深く、でも優しく、爆弾を触るように聞いてみる