【アンハビ】ギャルとイケボが無人島で2人きり……【ゲーム配信/夏休みコラボ】
「ふ~ん、レナちゃんも、手伝ってる人居るんだ~」
なにか意味ありげに呟く彼女を、わざと無視してシャワーへと逃げ込んだ。
卑怯な自分を呪いながら冷や汗を流すと、夏休みの課題をやっているほのかに声を掛けずに自室へと籠った。いつもの私なら、軽い調子で声を掛けるけれど、そういう雰囲気じゃない。
配信の告知と5万人記念配信で使う予定の動画素材の準備を進める。頭の片隅には、ほのかの悲しそうな顔が残っており、微かな引っ掛かりを感じたままレナさんとのコラボが始まった。
「こんばんわ。マコトです。見に来てくれる皆が大好きだよ。さて、今日は無人島に行くんですけど、1人じゃなくてギャルも巻き込もうと思います」
『めっちゃ嫌な言い方するじゃん!? ……こんちゃ!! レナチャンネルのレナでーす。今日はイケメンと無人島でバカンスって聞いてまーす』
スレイマンの星:バカンスwww
ビスケット:これ、動画で見たことある!!
トリスカイデカフォビア:アンハビ楽しみ~。
「ちなみに、無人島脱出の過程で死んだら、コメントで募集したセリフ読みやろうと思ってるよ」
『出来れば一回も死なないでクリアしたいな~』
カルボナーラ:シチュボ読んでくれると聞いて
豚の餌:ギャルとイケボが意のままってコト!?
A~A~:おもろそうwww
『じゃあ、さっそくやってみよ? えーと、設定はイージーで……』
「いや、待って待って。せっかくだし、ベリーハードでやってみようよ?」
『ベリーハードって難しいやつでしょ? 敵強いんじゃないの?」
ビスケット:ベリハwww
トリスカイデカフォビア:ハードでも無理あるのにwww
ステップステップ:鬼畜やん
スレイマンの星:マコトくんだけ生き残る可能性あるよ
『難しいと、私死んじゃうんだけど?』
「いや、ほら、皆、それを期待してるかもしれないじゃん?」
豚の餌:やべ、バレたwww
ビスケット:正直、その節はある
A~A~:ギャルのシチュボ聞きたい
「リスナーは皆正直だね~」
『マコくんもリスナーもドSだ!! うわーん、いじめられてる~!!』
「さすがにベリーハードはキツすぎるから、ノーマルぐらいにしようか。それ以外は特に設定弄らないで……無人島の脱出が目標ってことで」
カルボナーラ:始まった!!
阿新目鳥:レナちゃんゲーム下手だからこっち来た
『わぁ、なんか居る~? これ倒していいやつ?」
「それはただの木だね。とりあえずそれを伐採して、道具作ろうか」
『伐採ってどうするの? 今斧持ってるから、これ使えばいいの?』
「あ、そこに居ると……」
【レナは倒木に潰されて死んでしまった】
豚の餌:ギャル死んだwww
カルボナーラ:思ったより早い~
ビスケット:倒木とかあるんだ。すごいリアルなゲームだねw
「そしたら、レナちゃんの配信のコメントに、言ってもらいたいセリフをコメントしてください。一応、今回の配信はスパチャ切ってるから、そこは皆平等ってことで」
『わぁ、さっきより、コメントの流れがすごい。……な~んか、えっちなコメントとマゾっぽいコメントばっかりなんだけど~』
『レナ、変なコメントは拾うなよ? ……今、ディスコードに張ったセリフ読んでくれ』
「はい、じゃあ、読んでもらうコメントが決まったので、一回音楽止めます」
『もう~。すごく幸先悪いんだけど~。しかもちょっと照れるし……』
カルボナーラ:ワクワク
トリスカイデカフォビア:wwwwww
ビスケット:草
『お兄ちゃん、私のメイク可愛い? あー逃げないでよ』
『可愛いって言うまで逃がさないから』
「可愛い~!!」
カルボナーラ:可愛い!!
阿新目鳥:めっちゃ可愛い!? この企画最高だな
スレイマンの星:ギャル超かわいい~!!
『もう、マジで恥ずかしい。次、マコトくんにやってもらいたいわ~!!』
「じゃあ、今度は倒木に気を付けてね? 僕がこの木を切るから、こっちに立って手伝ってくれる?」
『こっちなら倒れてこない? 本当に大丈夫?』
豚の餌:あれ、なんか木がグラグラしてない?
トリスカイデカフォビア:え、これやばいやん。ここでランダム倒木引くとか持ってるねw
『なんか、コメントの流れ不穏だけど!?』
【レナは突然の倒木に潰されて死んでしまった】
「ああ、偶然のやつだね。運が悪いと、絶対自分の方に当たってくるんだよね」
『私、どんだけ運悪いの!? え、またコメント読むの!?』
「さすがにさっき死んだばっかり過ぎるから、見逃してもらおうか?」
『お願いリスナー!! この死亡は無かったことにして~』
スレイマンの星:コレはさすがに理不尽すぎるからしゃーなし
豚の餌:可哀想なギャル。むしろ可愛いが!?
阿新目鳥:おねだりされちゃしょうがない
「リスナー優しいね~。いうて1時間遊んでるし、少し休憩しようか」
『マジ!? 結構時間たってるね~。そういえばマコくんって5万人配信どうするの?』
「え、ああ~。実はもう企画は完成してて、細かいところ考えるだけなんだよね」
『いつやるの!? 遊びに行きたい!!』
「あ、あとで連絡するよ。ヴォイドさんとらんさんも来てくれるらしいから」
『また4人でコラボしたいよね~。ヴォイドっちの大会、一緒に見る?』
「大会は事前にチケット買ってる人か抽選当たった人じゃないと見れないよ」
『え、そうなん!? 配信とかやらないんだ~』
「大会終わってしばらくしたら、決勝戦だけは動画出るんじゃないかな?」
『へぇ~そうなんだ。ヴォイドっちが優勝したら、その決勝の動画を皆で見ようよ』
「いいね。リスナーと同時視聴配信ってことでやろうか」
トリスカイデカフォビア:めっちゃ楽しみやんwww
カルボナーラ:誰の枠でやるんだろう。やっぱヴォイド?
ビスケット:ゲームやってなくても楽しめるかな
「さ、いい感じで休憩できたし続きやろうか~」
『わ~い。でも木こりはこりごりだから、石掘ろう!!』
「あ、いや、勝手に洞窟の壁にピッケル振り下ろしたりすると……!!」
【レナは洞窟の落石によって押しつぶされた】
『うぎゃあ~!! また死んだ~!! マコくん助けて~」
スレイマンの星:なんでピンポンとで地盤の緩いところ開けちゃったのwww
マコくん最強卍:足引っ張ってばっかりでキモ
カルボナーラ:これはさすがにシチュボ来るでしょ~
――レナさんの恥ずかしいボイスが配信上に流され、そこからさらに30分かけてようやく無人島の脱出に成功した。結果だけを見れば、私の死亡回数1回に対してレナさんは7回だ。
最後の1回は完全に油断していた……。
『じゃあ最後、マコくんがイケボで愛を囁いて配信を閉めまーす』
「えぇ~本当にやるの……?」
気恥ずかしさを誤魔化すように水を飲んだ。さっきまでのレナさんもこんな気分だったのかと思うと、少し笑みがこぼれてくる。
「今夜、君と無人島で会えますように。SeeYouAgain」
言い慣れたはずの挨拶も改めてかっこいい声を意識すると恥ずかしくてたまらない。
スレイマンの星:普通に考えて無人島で会うの嫌じゃない……?
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