【初案件】イケボによるゲーム紹介!!【案件配信/依頼メール】
「さぁ、ついに告白まで来た!! これは勝ったでしょ!!」
スレイマンの星:これは無理フラグじゃね?
ビスケット:女の子、表情硬くない?
カルボナーラ:あーあwww
今日はリスナーから要望のあった有名な恋愛シミュレーションゲームで遊んでいた。2時間以上かけて、『
「途中でゲームオーバーになってばっかりだったから、ここまで来て失敗はしたくない。もう逮捕エンドは嫌だぞ!!」
『ゴメンね。マコトくんのことは、友達だと思ってるから……』
『こうして、俺の三年間の青春は幕を閉じた』
~FIN~
「いや、~FIN~じゃないけど!? え、今のなんでダメだった!?」
「コレは何、さっきと違うエンドだから、それで諦めろってことなの? いつになったら夏帆と恋愛が出来るんですか!?」
耕:シンプル狙い過ぎwww
豚の餌:付き纏いすぎて、ほぼストーカーになってたじゃんw
【カルボナーラさんが500円スパチャしました】
カルボナーラ:フラれちゃったね。ドンマイwww
「カルボナーラさん、スパチャありがとう。っていうか、笑い過ぎだから」
「ちゃんと、事あるごとに好きだって伝えてたし、夏帆がどこかに行くって言うときは必ずついて行ってたのに!! どうして僕を選んでくれないんだよ。夏帆~!!」
スレイマンの星:嫌われて当然じゃんwww
ビスケット:うーん、イケボでもギリ許せないラインw
なんとなく性格がほのかに似ているようだったので、最初の攻略ヒロインとして選んだのだが、ほのかが喜びそうなことを考えてプレイしてみたらダメだったのだ。
まさかの現実の恋愛がゲームに当てはまらないという例である。逆のパターンはよく聞くけど。
「ええっと、ちょっと遅い時間なので、今度の配信で必ずリベンジします。次こそ、夏帆と付き合うぞってことで、配信終わります。チャンネル登録&高評価忘れずにお願いしますね」
「今夜、夢の中で君のハートを射止められますように。SeeYouAgain」
今日の配信は盛り上がりのポイントが多かった。おそらく私の配信スタイルとこの手のゲームがマッチしているのだろう。熱が冷めないうちに切り抜き動画を作っておきたい。
「投稿日は……明後日か明々後日にしようかな。うん、水曜の夜にしよ」
配信用のパソコンをシャットダウンしようとして、メールが届いているのに気づいた。YouTubeアカウントとの紐づけしかしていないので、めったなことではメールの通知なんて届かないはずなのだが……?
「えっと、『株式会社アドバンス』? 怪しい詐欺メールかな?」
恐る恐るメールを開いてみると、とあるゲームの紹介をしてほしいというお願いのメールだった。最近、広告で頻繁に目にする機会の多い『終末の飛竜』というゲームだ。それなりの金額を払うので、プロモーション用の配信をしてほしいという内容。
つまりは、『案件』というやつだ。
「……案件!? 案件じゃん。え、マジ案件!? 私に!? え、マジカマジカマジか!?」
驚きと喜びのあまりに深夜だというにもかかわらず飛び跳ねてしまう。何度メールを読み返してみても、内容は変わらない。つい先日チャンネル登録者5万人を突破したばかりだというのに。
順調と言わずして何と言うのだろうか。
「案件かぁ。……らんさんもレナさんも何度か案件こなしてるんだよな。参考にさせてほしいけど、明日も学校があるレナさんは寝てるだろうしなぁ」
とくにメイク動画で人気になっているレナさんは、YouTubeだけでなくインスタやTikTokなどでも案件活動をしている。諸々の管理はオタクさんがやっているのかもしれないが、是非、そのノウハウを参考にさせてもらいたい。
「あ、そうだ。一応、ヴォイドさんにも連絡しておこう」
らんさんにメッセージを送ってみたが、既読が付かない。寝てるのだろう。
ヴォイドさんは起きているだろうという、少し失礼な偏見を持って連絡してみると、すぐに返事が返ってきた。うん、やっぱり起きてたね。絶対ゲームの練習してたとおもう。
『案件か……。受けるの?』
当然と言えば当然だが、ヴォイドさんの反応は芳しくない。
今の私がプロゲーマーと配信者の間で揺れていることを知っているからこその問いかけだろう。
もちろん、プロゲーマーへの道を閉ざしたくはないと思っている。それと同じぐらい配信者としても大成したいと考えているのだ。
もちろん、そのどちらも、ほのかの為にという理由が付いてくる。
『マコトくんがどうなりたいのかは分からないけれど、この経験は絶対に役立つと思うよ。プロゲーマーって言ったって、スポンサーありきだからねwww』
軽口のようなメッセージ。
何か含みを持たせるように、続けざまにコミカルなスタンプが送られてきた。ヴォイドさんが配信上で事あるごとに口にしている『ゲームは楽しんでこそだから』と書かれたスタンプだ。
たぶん、
配信者にとって案件というのは、YouTuberとしてのレベルを図るうえで重要なファクターになるらしい。プロゲーマー、配信者、どちらに転ぶにしても逃したくない話だ。
なにより、案件で貰ったお金で、ほのかに何かプレゼントをしたいと考えていた。
「この前、こんなに良いプレゼント貰っちゃったからなぁ……」
一応、配信ではマイクを変えたとした言っていないが、視聴者たちは、なんとなく誕生日プレゼントであることは察していた。……まぁ、人からもらったとまではいわれておらず、自分へのご褒美に買ったと誤解されていたが。
陰キャボッチでも誕プレ貰ったりするからね!?
コメントで『友達から貰ったの? ……マコくん友達居ないかw』って言ったの忘れてないから。しばらくコメントできないようにしてやったよ!!
「案件メールに返信しなきゃ……!! 文面……。文面どうしよう!?」
『案件メール 返事の仕方』とググっても参考になりそうなものがなかったので、2時間以上苦悩しながらメールを返したことは、語らないでおこう。
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