【誕生日配信】誕生日に特別ゲストとお話してみた!!【らんチャンネル/サプライズ】
「まぁ、いいや。質問をアレで最後にしたのは理由があってね。実は、特別ゲストを呼んでます!!」
ステップステップ:特別ゲスト!? 誰?
マックのポテト:陰キャのマコトくんがゲストを呼ぶなんて……
A~A~:マコ君のお母さんとか?
「配信に実母呼ぶわけないでしょ。気まずいどころの話じゃないよ」
あまり引き延ばしても出づらくなってしまうだけだろう。らんさんに合図を出して配信に入ってもらうように促した。
『皆~、こんばんわ~。フルーツ大好き、暑いのは苦手なVtuber、桃涼らんです。そして、マコトくん、お誕生日おめでとう~!!』
超高層ビル:らんちゃんキター!!
ステップステップ:かわい~!!
耕:らんちゃんにおめでとうって言われた~い
「あ、あれぇ!? 僕より盛り上がってない!? 今日の主役忘れないでね!!」
『マコトくん、24歳の誕生日おめでとう!! 年上さんだったんですね』
「棘のあるお祝いをありがとう……。あと、敬語じゃなくていいよ。そんなに変わらないと思うので」
『えぇ~、らんは~、フルーツの妖精だから永遠の18歳だよ~』
……何か触れてはいけない闇に触れた気がしたので、スルーした。誰だって、自分の命は惜しいと思うからね。あと、その設定、初めて聞いたんですけど。
「らんさんは、何度かコラボしてるから、皆も知ってるよね。この前のホラゲもらんさんに勧められたのがきっかけで――」
『アレさ、怯えるマコトくんが見れると思って勧めたのに、全然びっくりしないからこっちが驚いちゃった』
「善意じゃなかった!?」
ほのかの前では適当なボケを連発している私だが、今日はずいぶんツッコミに回っている。私のコミュ力が上がったというわけではなく、話しやすい雰囲気を作っているらんさんおかげだ。
本当に、ホラゲを面白半分で勧めてきたとは考えたくないしね。
『今度はどんなホラゲをやらせようかな~』
「そんなに言うなら、僕の方からホラゲ勧めますよ? 絶叫集が作られるぐらい人気みたいですし、リスナーの需要も僕より高いんじゃないですか」
超高層ビル:カワボの悲鳴はガンにも効く
スレイマンの星:絶対見に行きます
ビスケット:ホラゲコラボとか期待
A~A~:らん×マコてえてえある?
『ええ~、皆、そんなに見たいの? じゃあ、そのうちホラゲコラボします』
「え、いつの間にか巻き込まれた!?」
らんさんが配信に参加していると聞きつけたためか、いつもは見ない名前がコメント上に流れ始める。同接も倍以上に跳ね上がった。やっぱ、ゲストの力ってすごいね。
『あ、それより、今日は誕生日プレゼントも用意してるんだよ?』
……事前の打ち合わせでは聞いていなかった展開だ。もともとはお祝いの一言と、少し交流する程度しか考えていなかった。プレゼントの心当たりが全くないため、少し……かなりドキドキしてしまう。
『実は~、レナちゃんに頼んで、歌を貰ってます!!』
「え、歌? 歌!? な、何の歌ですか!?」
『流していいかな? 流すね』
止める間もなく、画面の向こう側でパソコンを操作する音が聞こえた。そしてすぐに流れる聞きなじみのある明るく活発で可愛らしい声。
『これもう撮ってる? 歌っていい? あ、いいの? じゃあ、レナ、歌います!!』
『は、ハッピーバースデートゥーユー、ハッピーバースデートゥーユー、ハッピーバースデーディア、マコトく~ん。ハッピーバースデートゥーユー!!』
緊張が伝わってくる上ずった声。ヘラヘラとしているが、私を純粋に祝ってくれているという気持ちが伝わってきた。なにより、
なんだか胸と顔が熱い。……夏だからかな?
レナさんの歌が終わると、暖かいコメントが流れ始める。らんさんが緊張した面持ちで咳払いをしてから話し出す。
『マコトくん、改めて誕生日おめでとう。配信初めたばかりで緊張したり、失敗したりすることも多いと思うけど、長いこと配信業やってる私からアドバイス!!』
『意外と何とかなる。だから、やれるだけやってみて、失敗した後のことは失敗してから考えていこうよ。それと、ホラゲじゃなくてもいいからまた遊ぼう?』
「……ハイ。ありがとう、ございます!!」
ほのかの為だけに続けてきた配信業だったけれど。少しだけ、ほのかとは無関係に楽しいと思ってしまった。
『じゃあ、私はコレで帰ります。皆、またね~』
ステップステップ:らんちゃん、行かないで~
カルボナーラ:カワボが消えた……。コレは世界の損失
超高層ビル:らんちゃんとマコくんが遊ぶ配信、楽しみに待ってるね!!
「……なーんか、皆、僕よりらんさんの方が好きだよね~」
スレイマンの星:え、嫉妬? 可愛すぎるんですけど!?
豚の餌:マコくん、かっこかわいい。抱いて、そして抱かせて!!
マコくん最強卍:マコくんが1番だょ?
【カルボナーラさんが5000円スパチャしました】
カルボナーラ:嫉妬ボイス、もう一回ください
「カルボナーラさん、今日2回目だよね!? そしてまた金額が大きい!!」
「えー、嫉妬ボイス? ……皆、僕から離れないでよ。ずっと傍に居て。って言ったらどうする?」
豚の餌:はい、オタクは死にました~
ビスケット:お前、可愛いかよ
カルボナーラ:解像度高っか。好き~!!
そりゃ、すぐ近くに参考にできるモデルが居ますからね。
「ちなみに、今日はヴォイドさんからもお祝いのメッセージ貰ってるんだよね。配信で流していいって、許可貰ってるから、流したいと思います』
ステップステップ:え、ヴォイドさん!?
マックのポテト:皆仲良しだね~
『マコトくん、誕生日おめでとう。……忙しいからって、こんな形になっちゃってごめんね。もし、優勝したら、賞金で高いお肉プレゼントするから、応援してね~』
スレイマンの星:高い肉www
ステップステップ:一番の優勝候補だし、お肉確定じゃん!!
ビスケット:お肉良いな~
「いや、皆お肉に釣られ過ぎじゃない!? ……牛一頭っていくらなんだろう」
カルボナーラ:いやねだりすぎでしょ
マックのポテト:食べきれるわけなくない!?
A~A~:大食いショタボ……。新ジャンルとしてアリか?
「あ~。楽しかった!! 皆、今日は本当にありがとう。すごく楽しい誕生日だった。リスナーだけじゃなくて、レナさんやらんさん、ヴォイドさんにもお礼言わないとね」
「最後に、レナさんとは近々コラボの予定があるから、ぜひ見てね。一応、レナチャンネルにお邪魔する形になるから、レナチャンネルの登録もしておいてね!! この配信の高評価もよろしく!!」
「今夜、君と夢で誕生日パーティーが出来ますように、SeeYouAgain」
配信を切ると、冷や汗が滝のように流れ始める。質問コーナーや初配信の振り返りなど、段取り通りに進んでいるときは平気だったが、咄嗟に話し始めた時は躓くことが多い。コメントへの反応も遅いし、改善点はまだまだあるだろう。
「それでも、今日はすごく楽しかったなぁ」
「真琴。お疲れ様。頑張ってたね!!」
部屋に入ってきたほのかが、スポーツドリンクを持ってきてくれる。
彼女の細かい気遣いが胸に沁みる。緊張と不安と気恥ずかしさを誤魔化すように彼女のお腹に顔をうずめた。絹生地のルームウェアは肌心地が良く、最高級の枕のようだ。
「こーら、人を枕扱いすんな。……一緒に寝る?」
「ううん、熱があるうちに切り抜き動画とか作りたいから。多分、今回は再生数、すごく回るよ」
「……そっか。疲れたら、いつでも頼っていいからね」
「ありがとう」
もう少しだけ彼女に甘えさせてもらおうと、頭をぐりぐり押し付けていると、何かを思い出したような声を上げた。これが嬌声とかだったら、いますぐベットに押し倒してたんだけどなぁ。
「今日の配信で、嫉妬してる感じ出してって言われた時、私の真似したでしょ!!」
「あ、あはは。お見通しでしたか……」
少し後ろめたくなって、苦笑いで誤魔化してしまう。「私、あんなんじゃないもん」と怒る彼女も可愛くて、幼いころから変わらない口癖に安堵を覚えていた。
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