儚い世界

鳥谷原 菜月

薄命

形を変えてどこにでも入っていける

でも受け止めてくれる器がなければ

それはできない

排水口に流されて消えてしまう


人は六割が水だというのなら

水が好きなら、

六割だけでも私を愛してよと

意味不明な理論を持って

涙を流す


そのお気に入りの服は

涙で濡れる

しかしすぐに蒸発して

いつの間にか消えている


雪だって溶けて夏には無くなるし

夏のあのラムネについた水滴も

いつかは消える


自由な形なのに

自由ではない


重力によってしか動くことはできないし

時間が経てば消えてしまう


儚い水と

儚い涙と

儚い君を

儚く愛す

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