銀英伝好きの俺(46)が異世界転生したのでとりあえず革命起こす。
村上一閃
序章
第1話 思い出
2022年の12月の頭に俺はなんとなく来たショッピングモールの書店である本を見かけた。その本の名は『愛蔵版 銀河英雄伝説 I 黎明編/野望編 』である。
「銀河英雄伝説....何だったかな。聞き覚えはあるんだが.....えーとなになに.....あぁ、SFのやつか。あぁあぁ!しっかし懐かしいなぁ。」
なかなか値段は高いもので、少し勿体ないような気もしたが即決で買った。思い立ったが吉日と言うじゃないか。帰ってからすぐ俺は読んだ。懐かしい名前が出てきて少年時代に戻ったようにワクワクしながら読んだ。原作刊行40周年記念ということで5月の終わりの頃から始まっていたらしい。ヤ〇ーで調べると今までに4巻出てるらしいとのことだった。俺の昔からの特技は速読なものだから(これのせいで漫画が秒で読んでしまい、後悔した思い出もあるにはあったが。)1日で読み終わった。おかげでいささか目が疲れた.....老眼鏡買おうかな。その後ア〇ゾンで2巻、3巻、4巻を注文した。
「たしか....アニメもあったな。あのクラシックの。」
調べてみると昔OVA(オリジナルビデオアニメ)として製作されていたらしい。あれ、まずまずOVAなんぞ買ってないのにテレビで見た記憶があるぞ.....何で見たんだと一人恐怖しているとどうやらテレビ東京でも放送していたらしい。それOVAなのかよ。そんなセルフ突っ込みをした後に第二期のスポンサーにテレビ東京が書いてあった事に気付いた。それから時間の合間を縫って読んだり観たりしているついに1月30日、5巻発売。どうやらこいつで本伝は終わりらしい。外伝も刊行するらしいが一旦は本伝だけでいいかなと。明日にでも駅前の少し大きい書店に行こうと思い、朝起きて準備をしてから車で向かっていたがそこにはたどり着くことが出来なかった。いや、交通規制を知らなかったとか今日は休みだとかそういうダサい理由でもないんだ。簡潔に言おう。事故に遭ったんだ。いや、それだと与える印象が少し変わってしまうかな。自分の不注意ではないんだ。正確には何かが落ちてきた。鉄橋の下を通っていたからなのか。崩落だろうか?老朽化してきているから工事するとか言ってたかな....
「あぁ.....ここで死んでしまうのか俺。本買いに行って死ぬとか..えぇ....」
そう冗談めかして言ってみたが体は素直だ。視界がどんどん暗くなっていく。これが死というものなんだな。欲を言うと息子と娘にもう一度会っておきたかったな。未練タラタラながらも来たなら仕方ないかと死の覚悟をしたその時だった。なにかピカーっとそれはもう眩しく光った。
「そこの迷えるものよ.....我には分かる.....そちは死ぬのが怖いらしいな。」
いきなりどこかから声が。もしや死を受け入れる事が出来ずに現実逃避でこのようなまやかしの声と空間を作り出しているのか脳内では。これが走馬灯か。
「....あのさ。いいかな。私は君に死ぬの怖いの?って質問してるのよ。せめてうんとかすんとかでも良いからさ、言葉のキャッチボールしようよ。僕悲しいよ。」
「えっ.....あぁはい。たしかに怖いですけれども....一体あなたは誰なのです?」
「その質問を期待してたぞ。ありがとう。あぁ.....われは神....」
....あまり神らしくないな。何故だろうか。この理解出来ない状況で平然としているのだから神だと錯覚してもおかしくはない....というよりかはそれが普通なのだろうが....そうだな。気さくというか。恐らくはそのせいだろう。というより神と本当に自分たちで言っているのだろうか。神なんて人が作り出した幻想も幻想だし....説明の手間を省くためにわざわざ人間に合わせて神と名乗っているのだろうか。たしかに相手の目線に合わせるのはコミュニケーションの基本と言えば基本だが.....
「あ待って。一旦黙れ下種。貴様の思考駄々洩れなのよ。いきなり切り替えられないんだからさ....あぁ頭が沸騰するよオーバーヒートものだよまったく.....よくそんな速さで思考出来るのね。追いつかないって処理。おーいWindowsー!OS壊れちゃう.....ここは渾身のギャグだ。笑うとこだぞ.....あのさ、そろそろへこむよ。独り芝居する身にもなれよ。」
「あ、すいません。」
.....反射的に謝ってしまったがこれそこまでか。相手が勝手に自爆しているだけでは.....走馬灯まで来て謝らなければならないってそこまで善行を積んでいなかったのか俺。
「.....まぁよい。一応謝っているようだし今回は許してやろう。次はないからな。まじでへこんで一生放置するぞ。しかしだね最近多いんだよ。死んだ責任を神のせいにする輩が。自分の不注意の事故で死んでおいてなにが『お前が起こした空間の歪みのせいだ!』だ。介入したのなんて随分昔....34億年くらい前だな私は。だからそういう輩には地獄へ行ってもらっている。それで毎日悶え苦しむ姿をここの窓から見ているのだ。」
.....性格悪いな。
「さてと、お茶でも出して腹を割って話すのがそちらでは定番なようだが生憎斯様な準備をしていては業務が滞るんでな。略式でさせてもらっている。では本題だが生きたいとそなたは願うか?」
「うん、まぁ.....はい。そうですね。本読み終わってないので。」
言ってから苦笑する。たしかに死ぬ前は書店へ行こうとしていたがもっとそれ以外の理由を言えないのか俺は。矢張り死ぬ前の未練と言う奴.....死ぬその時に考えているものは生きているうちには想像出来ないとよく言われてはいたが、まさか本当に自分がその立場になると複雑な気分になるものだな。
「えー.....はいはい、生きたいのね。うーん。では異世界に生を受けよ...」
「異世界?そんなものが本当に存在するのか?いや違う、まだ未練がある。あ、本以外も勿論あるし、そもそも俺の本当の未練.....うん残したことは死んだことそのものじゃなくてだな....生きられれば何でも良いわけじゃなくてだな.....」
言い終える前にまたピカーっと光った....そちら側がが言葉のキャッチボールについて語っておいてまさかそれを自分で実行しないとはな....あの神....絶対悪魔の類のものだ!人の話を一切聞かない。でも人には聞くことを要求する。ほうほうなるほどこれが神の特権ですか.....ふざけるなよ。あぁそうかいそうかいこれがそちらの解答ですか。ならな....行った先の世界で大分自由にやらせてもらうよ。目にもの見せてやるぞ。
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