第144話 ミミちゃんからのお誘い
リアル時間での2日後、イッテツさん経由でモフアイさんと会う約束をした。その日はイッテツさんも時間を取れるということで立ち会ってくれるらしい。
それと先程イッテツさんに他のお客さんからのメッセージが届いた。そのため俺は今、彼の元を離れて1人でいる。
う~ん、それにしても今からしばらくの間自由時間ができるわけだが何をしようか。たまにしか経営地を離れることはないので、せっかくだから有意義な時間を過ごしたいな。マップの開拓か、ファーレンを散歩するか。もしくはレベリング。あっ、でもファーレン周辺の敵はエルーニ山に現れる魔物よりかなり弱くて経験値も美味しくないからここでのレベリングはなしか。やるなら転移クリスタルを使ってフェッチネルまで移動してからだね。俺たちが攻略を進めたのはあそこまでだし、その先を開拓しつつレベルを上げるみたいになるかな。
「ハイト~、どう似合ってる?」
俺が1人で予定に悩んでいるところに妻が話しかけてきた。
ミミちゃんから受け取った黒兎のローブを装備してきたようだ。肌をこんがり焼いた金髪美女が黒のウサ耳付きパーカーを着たみたいな感じ。
「すっごいかわいいよ! 髪色が映えるからいいね」
妻へ素直に感想を伝える。
それを聞いた彼女は嬉しそうにニヤニヤし始めた。
「やっぱり? そう言ってくれると思ってたんだよね~。ハイトってパーカーの女の子好きだから」
「えっ、そうかな? 別に自分ではそういうの思ったことないけど」
「違うの? この前私が部屋着用のパーカー買おうとして相談したときノリノリで一緒に選んでくれたからそうかなーって」
そういえば先日、妻から新しい部屋着としてもこもこのパーカーを買おうと思っているという話をされたな。色とか種類がそれなりにあったから一緒になって真剣に考えたんだけど、それが原因で勘違いされたみたいだ。
俺はどちらかというと服とか髪型はその人に似合うならなんでも良いと思う派だし。妻は今でもどうして俺と結婚してくれたのかと思うくらいの美人でスタイル抜群だから、どんな服でも着こなせると思うけど。
「パーカーも良いと思うけど、それが特別好きってわけでもないかなぁ。でも黒兎のローブはとても似合ってると思うし、かわいいっていうのも本音だよ」
俺と妻が2人で話しているところにひょこっとミミちゃんが顔を出す。声をかけてこないのは会話を遮っていいのかと迷っているのだろう。もじもじしているのが視界の端に映ったため俺は彼女に話しかけることにした。
「どうしたのミミちゃん」
「えっと……ハイト。今から一緒に、お出かけ、したい」
まさかミミちゃんから一緒に出かけようと誘ってくるとは思いもしなかった。彼女とは会うたびに少しずつ距離が縮まってきてはいるからそのうち俺から誘ってみようかなんて思ったことはあったけど。
「俺は大丈夫だよ! リーナもいい?」
「もちろん行く!!」
ミミちゃんのことが大好きな妻はすぐに了承した。
「イッテツさーん! ミミちゃんがこれから一緒に遊びに行こうって言ってるんですけどいいですか?」
まだ子供のミミちゃんはシステム的に保護者であるイッテツさんからそれほど遠くまで離れることはできない。だから彼女と出かけるのならイッテツさんもくることになる。ただ、イッテツさんは俺たち以外にも顧客を抱えているため、鍛冶の予定があるなら遊びに行くのはまた今度にしなければならない。
「もちろんいいですよ。今日やることはハイトさんたちがくる前に全て終わってますから」
「だって、ミミちゃん。良かったね。そうだ! せっかく一緒にお出かけするんだし、今日はミミちゃんの行きたいところへ行こう」
「えっ、いいの?」
「もちろんだよ」
「ハイトの言う通り! 例えそれがボス討伐だろうとなんだろうと、絶対成功させるから大船に乗った気持ちでいてね!!」
イッテツさん経由でたまーにミミちゃんの普段のゲームプレイについて聞くことがあるけど……妻の言うようなところにはあまり寄り付かないと思うな。だってお母様かイッテツさんとゲームにログインするとすぐに防具作製の没頭しているみたいだし。彼女は腕が良いみたいなので、ファーレン周辺では手に入らない素材も俺たちや他のお客さんが持ってきてくれるから自分で先のフィールドまで攻略しなくてもいいからね。
でも、もしボス戦に挑みたいっていうのなら、それは本気でお手伝いするけど。
「ボスは、いい。一緒に、ファーレンを、回りたい」
「そっか。でも、それなら丁度いいね。俺たちもあんまりじっくりとファーレンを探索したことはなかったから。もしミミちゃんおすすめの場所とかお店があったら紹介して欲しいくらいだよ」
「いいよ。この前、新しくできた、友だちのお店。紹介する」
4人でファーレンを探索することが決まったため、一旦ミミちゃんは店じまい。それを待っている間、俺たちは以前訪れたときより種類の増えている防具たちを眺めていたのだった。
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