第25話 アップデート予告
ゲーム内での食事を終えた俺たちは、そのままログアウトした。
現実でも夕食を取ると妻は仕事をするらしく自室へ向かう。風呂まで済ませて、暇になった俺はイッテツさんが言っていたフリフロのアップデート内容を確認することにした。
「たしかホームページを見ればいいんだったよな……おっ、あった」
どうやら次回アップデートは現実の時間で2日後に実施されるようだ。流石にVRMMOのアプデはやることが多いのか、メンテナンス時間は丸1日。もちろんログインは不可である。そして元々ログインしていた場合も強制ログアウトになると。
メンテ直前に遊ぶ場合は要注意だな。フィールドで強制ログアウトをくらった場合、どうなるか分からない。流石にメンテ中は魔物から攻撃をされたりしないだろうが、終わった後が恐い。即ログインしなければ、フィールドに動かぬ状態で放置されて魔物に襲われてしまうなんてことになりかねない。デスペナを背負うのはフィールドでの戦闘が途端に厳しくなるので勘弁したい。
そう考えると余裕を持ってログアウトした方がいいな。アプデ日は宿で錬金術でもしますか。そうすれば強制ログアウトをくらわないで済むだろう。
そしてここからが重要なところ。アップデートの内容である。
ページトップにあくまでも事前告知であるため、実施されるアプデ内容は大まかにしか記載されていません。また急遽変更される場合もあるためご了承ください。と書いてあった。
上から順に見ていくが軽微な修正などが続く。それらをバーッと流し見していると……クラン機能および経営地、ハウス機能の追加について。という内容のものが目に入った。
クラン機能は他のゲームでもお馴染みのやつみたいだ。まぁ、一緒に遊ぶ奴らの集まりに名前つけたみたいな感じ。クラン立ち上げ条件はプレイヤーの人数が2人以上であること。そして立ち上げ時に冒険者ギルドや生産ギルドで報告する必要があるらしい。今後、クラン宛てにギルドから指名依頼とかがくる可能性もあるからだとか。これを見るとクランに入るメリットがかなり大きく感じるな。
ちなみにクランメンバーとして従魔やNPCの登録も可能らしい。従魔たちをクランメンバーにするメリットがどういうものかはわからないが、2人揃ってテイマーである俺たちとしては嬉しいことだ。
次にクラン経営地について。
この世界には6つの国家があるが、まだまだ未開拓の地が山ほど存在するという。そういった土地は最も近い国へ報告した上で、単一クランメンバーにより一定時間支配しある程度の金額をその国へ献上することでクランの経営地とすることができる。
クラン経営地となった場所は報告を受けた国の土地にはなるものの、支配したクランが自由に建築や入場制限をかけることができるようになるとのこと。
実質、クランで好きなように町を作れるということだろうか。これはおもしろそうだな。モンスターファームを作りたい俺たちにとっては。
1日中、陽光の入らない庭の1つでも作ればマモルも部屋の中でじっとしている必要もなくなるだろうし。可能かどうかはわからないが、経営地の半分くらいを日陰にできたらもっと良いんだけどね。
最後のハウス機能は、クラン経営地のどこかにクランメンバーがリスポーン地点に設定できるクランハウスを建てることができるというものだ。クラン経営地に関してはどれだけ厳しい制限にしたとしても同盟を組んでいるクランなどは入ることができるらしいが、クランハウスに関してはクランメンバー以外入ることができない。ここはクランの絶対不可侵領域みたいなものだろう。
仮に経営地の入場に制限をかけていなかった場合、リスポーン地点に他のプレイヤーが入れるとリス狩りされ放題だしね。そこらへんを考慮した場所なんだろう。後はクラン外には絶対に漏らせない話をするのに利用するとか。
ここまで読むとクラン未所属のプレイヤーがちょっと不遇過ぎないか、と思ったがその下にクランに所属しないメリットも記載されていた。
クランに所属しない者、公式曰く流浪の民はメリットとしてどのクランの経営地にも足を運べるらしい。それ自体にどのようなメリットがあるのかまでは教えてくれないようだが。そこのところはアプデ後に自分で確かめてみなってことかな。
「うん。アプデが楽しみだ」
ログイン制限がとけたら、早速クラン経営地候補を探しにいこう。そもそも未開拓地がファーレンの近くにあるのかはわからないが、とりあえず行けるところまで進んでみればいいんじゃないかな。
クランの経営地とするにはクランメンバーでその地を支配しないといけないらしいから、途中で従魔を増やすのもいいだろう。あとはお金も必要だが、これはユニークボスを討伐したおかげでたくさんあるので問題ない。
……そろそろ寝るか。起きた頃にはログイン制限も解除されているだろうし。そうすれば、仕事が休みである明日もフリフロの世界で好き放題できるからね。
俺は仕事部屋にいる妻に一声かけてから、眠りにつくのだった。
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