第19話 再戦に向けて(最終調整)
「すらっち! がんばれっ、が~んばれ!!」
妻はテイムしたスライムにすらっちと名前をつけて可愛がっている。今もすらっちのかっこいいところがみたいからと野生のスライムと1VS1をさせていた。
パーティーを組んでいるのですらっちが独力で相手を倒しても経験値は全員に分配されるので意味がないのだが。
きっと2体のスライムがぷるぷるしている様子を見たかったからなんだろうな。
「おっ、やっと終わった」
水色の球体同士が震えながら溶解液をかけ合うこと数分、軍配はすらっちに上り、彼は無事レベルアップを果たした。すらっちがダメージを受けると妻が低級ポーションを投げ与えていたので当然の結果である。
「よくがんばったよ! 次からは一緒に戦うから、今日中にLv.5まで上げちゃおうね」
最初に掲げていた目標はすでに果たした。今日は残りの時間で怨嗟の大将兎を倒すためにレベリングをすることにしている。
その終了の目安として、すらっちのレベルが5になる頃と決めたのである。なぜなら、スライムはLv.5で物理耐性というどう考えても有用なスキルを手に入れるからだ。
掲示板のテイマースレでは、ファーレン周辺に出るテイム可能な魔物の情報がほとんど出揃っていた。そのおかげでスライムは基礎ステータスが低い代わりに、現在テイムされている他の魔物より良いスキルを覚えると判明している。なので、スライムを初見でテイムするべきだと訴えた妻の魔物センサーは中々頼れるもののようだ。
「日も沈み始めたし、俺は一度マモルを迎えにいくよ」
俺たちのパーティーであの化け物と真正面から渡り合える可能性が1番高いのは、やはりマモルである。それなら可能な限りマモルのレベリングもするべきだ。
「私はすらっちと2人で戦う練習しておくね」
「無茶して死なないようにね」
「はーい」
宿の部屋に入るとマモルがこちらへと駆けてくる。勢い良く飛びついてくるので、俺はこけそうになった。
「なんだマモル、戦いたくてうずうずしているのか?」
反応は顕著だ。
いつもの3割増しで骨の尻尾をブルンブルンと振り回している。
1人が寂しかったというのもあるかもしれないが、きっとマモルも強くなりたいのだろう。ユニークボスと真正面からぶつかって力負けし、俺の従魔として召喚されてから初めての敗北を味わったのだ。骨とはいえ、狼であるマモルには己がそれなりに強いという自信もあったはず。それを踏みにじられて、じっとしていられるものではないだろう。
「明日のリベンジマッチに向けて、今日は最後のレベリングと調整になる。気合を入れていくぞ」
日が完全に沈んだことを確認した俺はマモルを連れて、ファーレンを出た。
ファス平原に到着すると昼間よりプレイヤーの数が減っていた。やはり魔物が強くなる夜は、強さに自信のある者と効率良くレベリングをしたい者しかいないらしい。
平坦なフィールドをマモルと共に進んでいると、妻とすらっちの姿が目に入った。
「お~い、マモルを連れてきたよー」
「お帰り、ハイト。それにマモルも!」
「ただいま。マモルのやる気がすごいから、頼りっきりにならないように俺たちもがんばろう」
「任せてよ。すらっちと私のコンビネーションはマモルにだって負けないんだから!」
「それは楽しみだね。じゃあ、早速狩りをしようか」
そこから4時間ほど魔物との戦闘に明け暮れ、俺たちはそれぞれ最終調整を終えた。
ハイト・アイザック(ヒューム)
メイン:見習いテイマー Lv.8
サブ1:見習い錬金術師 Lv.5
サブ2:見習い戦士 Lv.4
HP:180/180 MP:200/200
力:18(+11)
耐:20(+12)
魔:27
速:16
運:23
スキル:テイム、火魔法、錬金術、剣術(初級)、盾、気配察知、鑑定、解体
称号:<ラビットキラー>
SP:14
リーナ・アイザック(ダークエルフ)
メイン:見習いテイマー Lv.8
サブ1:見習い料理人 Lv.1
サブ2:見習い農家 Lv.1
HP:110/110 MP:130/130
力:8(+1)
耐:3(+9)
魔:33(+5)
速:27
運:10
スキル:テイム、料理、栽培、鑑定、植物魔法、水魔法
称号:―
SP:10
マモル(骨狼)
Lv.7
HP:250/250 MP:120/120
力:47
耐:16
魔:24
速:54
運:11
スキル:骨の牙、気配察知、暗視、威嚇←new
称号:<闇の住人>
すらっち(スライム)
Lv.5
HP:50/50 MP:32/32
力:10
耐:16
魔:5
速:8
運:10
スキル:溶解液、液状化、物理耐性
称号:―
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