努力できるかどうかも遺伝で決まる! という説の落とし穴

エテルナ(旧おむすびころりん丸)

努力できるかどうかも遺伝で決まる! という説の落とし穴

遺伝の影響はものすごいです。

容姿はもちろん、性格や才能は遺伝によってほぼ決定してしまいます。


「それでも努力すれば、生まれに関係なく成功できるよぉ!」


少年ジャンプのヒロインはそう言って励ましてくれるでしょう。

しかし現実は残酷。

努力の才能と言いましょうか、一つの物事にコツコツと打ち込めるかどうかという気質も、遺伝によって決まってしまうらしいのです。


人には努力できる遺伝子というものがあり、実験により存在が明らかになってきました。


ミシガン州立大学とテキサス大学の共同実験


一卵性の双子、850組で実験。

片方は裕福な家、片方は問題のある家など、異なる環境に分かれている。

総勢1700人にクラシック楽器の練習をしてもらう。

双子同士で見た場合に実力差は出なかった。


この実験が示すこと。

それは周囲の環境に左右されず、努力できる人間かどうかは生まれながらに決まっているということ。


まず一卵性の双子の場合、遺伝子はほぼ100%一致します。

つまり努力遺伝子も一致します。


よって一卵性の双子には同じだけの努力遺伝子があり、環境の良し悪しに関わらず、クラシック楽器は同程度に上達した。

逆に努力遺伝子のない双子は、環境の良し悪しに関わらず、クラシック楽器は同程度に上達しなかった。


育て方や環境は関係なく、生まれた時点で努力できるかどうかは遺伝子により決まってる――ということ!


こうなると最早どうしようもないですよね。

毎日コツコツ、少しでも続ければと助言しても、コツコツ続ける努力ができない訳です。

努力しなければという心構えを諭しても、心構えをする努力ができないのですから。


これはなんというオワタ式!


つまり実力で成功したと思ってる人も、生まれながらに努力できる遺伝子を【偶然】持っていたに過ぎず、遺伝子は己で操作できるものではない以上、実は運が良かっただけという結果に落ち着いてしまうのです。


努力する遺伝子のない人は、どうあがいたって成功することはないので諦めましょう。


ただし――


【努力する遺伝子が完全にない人】


という場合に限ってはの話ですが。


これ、割と落とし穴だと思います。

なぜならこの話題を聞いた人の大半は——


「あ、自分には努力する遺伝子がなかったんだ」


短絡的にこの考えにいきがちだからです。

単純に『ある』か『ない』かの結論を出したがる。


ゼロイチ問題じゃないことが重要です。

努力できる遺伝子にも種類があり、カリフォルニア大学の研究によると、少なくとも現時点では3つの分類に区切れるそうです。


ここでは分かり易く

努力できない遺伝子T。

努力できる遺伝子をCとします。


TT = 努力できない

TC = あんま努力できないor少しは努力できる

CC = 努力できる


この結果からも、少なくとも現段階で、中間のタイプが存在することが分かります。

だというのに、前者の研究の結果だけを聞くことで、自分には努力遺伝子が全く無いと信じ込む。

少しは努力できるはずのところを根底から諦めてしまう。

ちゃんと検査してもらった訳じゃないのだから、主観で決めつけてしまうのはもったいないのでは?


今まで努力が続いた試しがないからといって、最初から諦めてしまっては僅かな可能性すら失ってしまいます。

特に人間は心理学上、得より損を気にします。(現状維持バイアス)

失敗や悪いことの方を覚えていやすいです。(マーフィーの法則)

思い返せば思い返すほど、できなかった方の記憶ばかりが蘇り、やはり無理だと思ってしまいがちです。

ゆえに単純な質疑応答や診断テストでは、結果が悪い方に寄ってしまう傾向があるといえます。


以下はあくまで筆者の体験であり、根拠がなくて申し訳ないですが…

とはいえ私もつい最近まで、全く努力できない人間だと思い込んでました。


基本、夏休みの宿題は後回し。

部活は入るも幽霊部員化。

高校は並、大学も遊び惚ける。

予定を立てても計画通りにいくことはなく、家計簿をつける習慣は三日で終わった。

一人暮らしで自炊しようという決意するも一週間程度で終了する。

休日に12時間以上の睡眠はザラ。


思い返すとこのザマです。

当時の私が努力遺伝子の話を聞いたなら、自分には遺伝子が無かったのだと諦めていたでしょう。

逆にあなたが私の経歴を知ったとしたら、そして私が努力できる才能があるんだと豪語したら、ある訳ねーだろと突っ込むはずです。


しかし今の私は努力してます。

努力というか、勉強が楽しくて仕方がないから続いてます。

今までまーったく努力しなかった人間が、一日平均10時間勉強を半年以上続けてます。(これでもフル勤務の社会人です)


恐らく私の努力遺伝子は中間のTCでしょう。

これまでの経歴を見る限り、辛抱強いCCでないことは明らか。

ですが……



努力できないTTではなかった。



私は嫌なことは続けられないのだと思います。

だけど好きになったことなら続けられます。

ならば成功の可能性は、まったくもって0ではないはず。(いずれ証明してやる!)


今後の研究で努力に該当する項目は、更に細かく分けられるかもしれません。先ほどのTとかCの遺伝子説明も、あくまで粘り強さの気質であって、

別項目が見つかれば組み合わせも増大し、100段階くらいまで分けられるかもしれないのです。


あなたがゼロだと思い込んでる努力遺伝子が果たしてどの程度なのか。

この記事を見た時に、だったら自分は努力できないTTだと決めつけず、何かに興味を持って試したら、意外と続けられる努力が見つかるかもしれません。


(この記事を見つけてここまで読んでる時点で、恐らくTTではない!)

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