ネタ元(有益度★)

 デビュー作の宣伝という役割をまっとうし、そんなにガツガツ書くこともなくなった当エッセイですが、何かしら思いついたらまた今回のようにふとした時に更新していきます。


 最近、オープンに連載せず一人でコツコツと何に向けているわけでもなく数年ぶりに三人称小説(『沼と首吊りの町(仮)』という仮タイトルにしてます)を書いているわけですが、書きながらちょっと過去に読んだ作品に影響を受けすぎではないかと不安になって、読み直したところ別に全然似ていなかったということがあります。

 はっきり「この作品が好きでこういうの自分も書いてみたい」と思って書くのは問題ないというか、リスペクトがあればこそ、その作品の影響下にあってもいかに被らないようにするか腐心するわけですが、無意識っていうのはかなり危険な気がします。

 記憶の片隅に転がっているものをあたかも自分で思いついたかのように錯覚して、「すごいこと思いついた!」とか思って書いてたら、過去に読んだものの劣化コピーとか二次創作みたいになってるのに後から気づいたら嫌じゃないですか。

 でも全部が全部覚えてられないので、自分が影響を受けていそうではあるけどはっきり内容を覚えてない作品っていうのは数年に一回くらいパラパラっと読み直してもいいかもしれないですね。


 で、以前にも書いたとおり(多分書いたような……)、私は割とマイブームがそのまま作品になることが多いタイプなんですが、それとは別にインスピレーションを得るために見るものがあります。

 何かというと小劇場演劇のチラシです。

 私、ちょくちょく演劇を観るんですが、劇場に行くとロビーにいっぱいチラシが貼ってありますし、座席の上に束がパンフレットと一緒に置いてあることもあります。

 これがものすごくネタ元として良いんですよね。

 なぜかというと、チラシの内容と実際の公演内容が全然違ったり、チラシに書いてあるタイトルとあらすじ、主催・脚本の方の挨拶文からだとまったく内容の想像がつかないんですが、すごく観たくなるような内容のものがちらほらあるんですよ。

 劇場っていうのはかなり早い段階から押さえるものだそうで、脚本なんて影も形もない段階で先にキャストとさっぱりわからないタイトルと「今回は電車の中で逆立ちをしている人を見ました。あの人は何をしている人だったのでしょうか? そのことについて考えていたら脚本が書けそうな気がしてきました。とりあえずタイトルは『電車の中で逆立ちする人と犬』ということにします。本番では変わっているかもしれません」みたいな、嘘だろ? 犬はどっから来たんや……みたいな文章だけ書いたチラシがいっぱいあるんですよ。

 で、自分で色々考えて、答え合わせのために劇場までわざわざ行くことがあります。

 自分の予想が当たっていることはまずありません。

 でも別に当たってなくても良くて、楽しく演劇を観てインプットすると同時にチラシで想像したものがまた次の作品に活かされたりします。活かされなかったりもします。

 映画もまぁまぁ観ますが、やはり映画というのはビッグビジネスなのでこういう情報の断片みたいなものだけポンと置いておいて、興味あったら観に来てね、みたいな宣伝はしないですし、情報も整理されているのでちゃんと観たいものが観せてもらえるので、想像力をMAXに働かせて本来なら思いつかないようなアイディアに導いてくれたり、いざ本番観て予想だにしないものが出てきたりっていうことはないですよね。やってること自体は大枠同じっぽいのに、勉強する科目が全然違う感じです。


 最近観た演劇について何か書こうかと思ったんですが、長くなってきたのと演劇ってこれ面白かったよって教えてもらってもだいたいそのタイミングでは手遅れで公演期間終わってたり、チケット完売してたりしてあまり意味がないので、幾つか好きな演劇のタイトルを挙げて終わりにしたいと思います。

『3』

『毒を飲むより苦しいなんて』

『誰』

『まだ出会ってないだけ』

 ではでは。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る