第7話 裸のヴィーナス

 夜、私がシャワーから出てみると。白花がリビングのソファーに座ってゲームをしています。家が隣なので時々勝手に上がってくるのです。バスタオル一枚のレディーに対して失礼極まりないです。


「あ、姉ちゃん、ゲーム借りているね」


 私がバスタオル一枚でも、この白花は気にもしません。この男娘に性欲はあるのでしょうか?試しにバスタオルを取ってみます。


「なななな、何しているの?」

「見ての通りマッパです」


 顔を赤くして、驚く白花を見て、私は上機嫌になり、パンツとブラを白花の前で着けます。


 うん、うん、健全な男子たる者は女子の着替えを見て興奮せねば。


「それは痴女だよ」


 失礼な、この美貌はヴィーナスです。つまりは芸術なのです。白花はポリポリと頭をかきながら自宅に戻ります。


 勝った。


 さて、ジャージ着て寝よ。


 我ながら庶民的なヴィーナスだなと思うのであった。


それから、私は自室のクローゼットの扉に付いている鏡で髪をとかしています。今日も絶対正義が活躍したな。日々の鍛錬によって生まれる快感はこの上ないです。


 そう『北斗』の男子の海戸とか言っていました。強敵でしたが『絶対正義』の前では弱っちい存在です。決して、白花のアドバイスがあったからではありません。


 イヤ、少しかな、それとも、かなりかな……。


 ダダ頼りとも言えます。


 細かいことは無しにして。


『絶対正義は揺るぎません』


何故か、ブラとパンツ姿で決め台詞を言います。


「は!芸術です」


 髪をとかし終えると。もう一度、ジャージを着て布団に入ります。

今日も良く眠れそうです。


……。


 気がつくと朝でした。アラームを止めると、鞄に日常を詰め込んで出発です。

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