イレイサー:File09_バインランドの悲しき仮面:指令があれば「憑きモノ」を「ないモノ」に消します。
UD
第1話
真夜中。
小さな影と大きな影が月明かりに照らされ、長く伸び揺らいでいる。
ゆっくりと歩いている二つの影は手をつなぎ、どこかに向かっているようだ。
町の建物は月明かりに照らされ白く輝き、影をいっそう黒く染めている。
「ねえ、終わったらわたしのおうちに来てくれるのでしょう?」
「そうだわ、それがいいわ」
「お父さまもお母さまも、お兄さまも、きっと喜んでくれるはずよ」
「うふふ。またそんな顔をして。心配いらないわ。そう。なにも心配をしなくてもいいの。わたしがあなたを守ってあげる」
小さな影は大きな影に一生懸命に話しかけている。
大きな影は返事をすることもなく、ただ小さな影と手をつなぎ、ゆっくりと歩いている。
「だからお願い。わたしとなかよくして。ね!」
二つの影は手をつなぎ歩き続ける。
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