第四十話 村を見回り、一仕事 三 家具を作ろう
今回頼まれたのは食器
木材の
「持ってきたか? 」
「ああ。ガンツ殿の所へ行くと
大きな箱を持ったホムラが作業場にやってきてそう言った。
中にあるのは大小様々な
「
「大きさで分けているらしい」
なるほど、と呟きながら「
一枚の少し
それが外れないように「トントントン」と音を立てながら釘を打った。
そして後ろを見ずにホムラに指示をだす。
「ホムラは図面のように溝を作ってくれ」
「了解だ」
「
「ははは! 心配性だな。ゼクト殿は」
メキ!
……。
「だ、誰にだって失敗はある! 」
一つ木の板が被害にあいながらもオレ達は黙々と家具を作り続けた。
★
数週間後。
やっと家具作成が終わった。
家具を作るにあたって、流石にオレとホムラだけでは回らなくなった。
だからせめて持ち運びだけでも村の人に頼み、出来た
そして最後の一つを運んでもらったオレ達は掃除をしていた。
「ダリアにホムラ。助かった」
「お役に立てて幸いです」
「貴重な体験をさせてもらった」
最初、ダリアも掃除を手伝うと言ってくれたのだがオレが拒否。
掃除をしていたらいつの間にかゴミ屋敷になりかねないからだ。
なまじ前科があるがゆえに、頼めない。
部屋の中を掃除し終えたオレは一先ず家の中へ。
ダリア達も中に入れて、飲み物を出す。
椅子に座り一息ついた。
「やることは大体終わったし……どうしようか」
「少しお休みになられてはどうでしょうか? 」
オレの呟きにダリアが答える。
休みか。
それも良いな。
あ、そういえば。
「
家具を作る上でいらなくなった他の家具などを貰っていた。
それを思い出し、考える。
「オレとしては再利用しようかと考えていたんだが」
「あの程度の
「オレもそう思うよ。多分これを
「ならば
ダリアの言葉に苦笑いする。
確かにその通りだ。
使えるものなら、そのまま使った方が良いのは確かだ。
しかしこれには村人達の心の問題があった。
襲撃された時に使っていた家具。
これがあるだけで襲撃の時の恐怖を思い出すかもしれない。
それならば換えた方が良いのは確かで。
「ホムラ用に幾つか修復しようか」
「いいのか?! 」
「そんなに手間のかかる事でもないし、いいぞ」
やったー! と椅子から立ち上がり喜ぶホムラ。
それをオレとダリアが温かい目で見ている。
ふとダリアと目線が合う。
すると彼女はくすっと笑い、ホムラを見た。
大人っぽい外見からは想像できない子供っぽい行動に少し
「専用……専用……。私専用……」
自分の物というのがとてもうれしいらしい。
今にも踊りそうな雰囲気で「専用」と呟いている。
だがこのままにしておくわけにもいかない。よって早速貰った家具に
なにに使うのか、使う必要があるのかわからないがそれを受け取ったホムラのテンションが爆上がりしたのを苦笑いを浮かべながら見て、今日の所は解散となった。
★
翌日、朝を迎えて伸びをする。
少し今日は寝苦しかった。
ベットの上で「一体何だったんだろうか? 」と考えつつも、降りて「ミシミシ」と音を鳴らしながら、窓を開ける。
ヒューっと風が入ってくるが、いつもよりも暖かい風だ。
いや温かいというよりも「熱い」と言った方が正しいだろう。
「何なんだ? 」
熱いと言っても年の真ん中くらいの温度だ。
きわめて熱いという程ではない。
だが、昨日にして今日のこのちがい。
少し気になるが……、調べつつ考えるか。
十分に
自分の部屋の扉を閉めたら調理場へ。
「おはよう! 」
「おはよう……って熱っ!!! 」
調理場へ行く途中、ホムラと出会い挨拶を。
しかし何だ彼女から
燃えているのか? 彼女は燃えているのか?!
「おっとすまない」
そう言うと同時に僅かに温度が下がるのを感じた。すぐさま玄関に、広間の窓に、全開にして家全体の温度を下げる。
やっと落ち着いたところで広間にて何が起こったのかホムラに問い詰めた。
「テンションが上がり過ぎたようだ」
「そうはならんやろ……」
「いやいや本当だ。私は火の精霊だからな。ちょっとした加減で熱気が出ることがある」
あってたまるか……。
げんなりしつつ、
まだどこかテンションは戻っていないようだ。
自力でその力とやらを抑えているのだろうが熱気はまだ出ている。
火事にならなかったのが本当に幸運だ。
「ん? ということは今日外から入ってきた熱風は」
「恐らく私のせいだろう」
なんてこった……。
普通に環境に影響を及ぼしているじゃないか。
今日は冒険者ギルドに行こうと思っていたのだが彼女を連れて行くと山火事を引き起こしそうだな。
「……ホムラ。今日は待機だ」
オレが告げると予想外だったのか一瞬固まった。
少し慌てて「何故だ」と聞いて来るが説明する。
落ち着くまでここにいてもらおう。
最悪被害はオレの家だけに収めたい。
「……迷惑を掛けるわけにはいけないし、な。了解だ」
と、渋々ながらも提案を引き受けてくれた。
良かった、
流石に歩く発火物をひきつれるわけにはいかないからな。
申し訳ないが、彼女が落ち着くまでオレの家にいてもらおう。
「ゼクトが帰ってくるまで私は、私専用の家具をめでるとしよう」
「いやそれ大丈夫なのか? 」
「だ、大丈夫だ。テンションが上がり過ぎて家を燃やすようなことはしない」
「さっきまで家を燃やしそうな熱を発していたやつが言っても、な……」
「し、信じてくれ」
そう
軽く息を吐き、絶対に家を燃やさない事を約束させて、朝食を取った後にオレは冒険者ギルドへと向かった。
———
後書き
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