第八話 ダリア vs ホムラ
ダリアに「そちらの方は? 」と冷気を
それと同時にふと考える。
ホムラのこと、どう説明すればいいんだ?
答えとして正解は「拾った」、だ。
何せ、精霊が入っているとはいえ人形だ。
だが彼女は今入っている
しかも
歩く国家機密のような存在を、ギルマスならともかくダリアに話していいのか?
あくまで笑顔を
ならば人として紹介するか?
ホムラの方をちらりとみる。
ダリアよりも高い
普通に見れば人形とは思えない。
よし。ならば人でやり過ごそう!
それが良い!
「彼女は途中で「私はホムラ! よろしく頼む! 」……」
うぉい!
オレが紹介する前に言いやがった。
元気
じゃないと話がどう転ぶかわからない。
「ホムラさん、ですか」
「ああ。そうだ! 」
ダリアがそう聞くと瞳を軽く開いてすぐに戻した。
そしてまじまじとホムラを見ている。
……。気付いたのか?
もしかして人形だということに気付いたのか?
女性は
人一倍勘が鋭いダリアだ。気付かれても不思議ではない。
しかし次に
「ホムラさんは……。どうしてゼクトさんとくっついていたのですか? 」
そっちか。
「なにやら足が動かないと聞く。だからこうして引き
そう言いながらオレの手を取り再現してみせた。
同時にダリアの
ホムラのやつ。わざとやっているんじゃないだろうな?
★
「私は山で怪我をしている所を助けてもらってな。その
「きぃぃぃぃ!!! 私だってモンスターに襲われて
バンバンバンと受付台を叩きながら反論のようなものをいうダリア。
確かにそう言うことはあったが……確か初めて会った時の事だろうか。
よく覚えているものだ。
「ほう。やはりゼクトは
「え……えぇ。そうよ。分かってるじゃない」
自分の足に注意を払うと動けるようになっている。
チャンス!!!
二人が口論をしている間にオレはそっとそこを抜け出し村人達がいる机に向かった。
「ふぅ。
「いや。今回はお前さんが悪いとオレは思うがね」
「ワタクシも同意ですね。今回はゼクト君が悪い」
「そう言わないでくださいよ。ギルムさん、エリック
席に着き、軽くぼやくと二人から非難の声が上がった。
頭に角を一本生やしている魔族の男性はこの村の
ギルムさんは約三百歳ほどの一角魔族。この村で最年長だ。しかし姿は老人ではなく、人族でいう所の青年そのもの。オレよりもずっと前に、冒険者として働いていた時負傷してこの村に来たそうだ。
エリック助祭はオレと同い年くらいの中年男性神官。特に太っているわけでもなく、引き
ギルムさんはオレと
「いつもゼクトに
「ワタクシもですな。せめて彼女に気を
「確かにそうですが放っておくわけにもいかなかったので」
そう言いつつ背中の
「お前さんの人の良さは知っているが今回ばかりは
そう言うとエリック助祭が机の上に置いてあるコップにもう一つだし、それぞれに
「依頼の後なのでしょう? 一つどうぞ」
礼を言いつつオレとギルムさんはそれを手に取り半分くらいを一気に飲む。
「山登りやらなんやらで緊張することばかりだったので助かります」
「いえいえ、このくらい」
「で、その話方だと彼女、ホムラ
そう鋭くギルムさんが聞いて来る。
それに
もちろん彼女が精霊人形で、本体が精霊であることを
するとギルムさんが頷きつつ
「なるほど。それならば仕方ない……のか? 」
「少なくとも
「しかし、結果としてダリア嬢を悲しませる——いやこの場合だと怒らせる、か? ——ことになっている。どうしたものか」
「さて……こればかりは分かりませんね。しかしこうなってしまったのは仕方ないこと」
「そうだな。起こってしまったことを
ギルムさんがそう言うとエリック助祭が頷き、オレも遅れて
そしてエリック助祭がこちらを向いて軽く
「一応明日にでも彼女の事は村長に報告しておいた方が良いと言っておきましょう」
「問題になるとは思わないが、村長としては住民が増えるのを
「そうします」
と、残りの水を飲み干し、木のコップを机に置いた。
「ふむ。どうやら向こうの話が終わったようだ」
「そのようですね。ゼクト君。ほら」
エリック助祭に言われてオレは受付の方をゆっくりとみる。
そこにはダリアとホムラの姿が。
しかしダリアの最初の
どちらかというと
何があった。
二人の関係の急激な変化についていけず少し不気味に思いつつも、話を一旦中止しこちらを向いて呼んでいる受付に向かうのであった。
———
後書き
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