第四話 おっさん、直す
「しゃ、
「は、……やく……な、お……せ」
炎に
直す?!
直すってどういうことだ!?
気配感知。
危機感知。
魔力感知。
魔力はこの
もちろんの
しかし何で
いや、人型は
分からない。分からない事が多すぎる。
今も
この炎は、もしかしたらオレに直させるために、逃がさないためにこの人形が作った者かもしれない。
そして視線を戻して決心した。
結局この状況から逃れるためにはこの人形を直すしかない、ということか。
立ち上がり、近寄る。
しゃがんでまず
「
無属性中級魔法『
その名の通り
村で役割がないというのは中々に厳しいものだ。リリの村に入った当初は周りの目線が痛かったが、冒険者業の間で覚えたこれのおかげでそれは解消。今はもうすでに
軽く考え事をしている間に修復していく。この様子を見ると、考えていた通りこの女性は人形であることを実感する。
修復を終了するともう一方の
彼女から少し離れると同時に赤い髪を
立つと軽く
何だろうか。このがっかり感は。
こっちの気も知らず直ったか確認しているのだろう。
軽く足を曲げたり伸ばしたりして確認していた。
赤いスカートが短いせいか中身が見えそうだ。見えないが。
しかし……見えたとしても中身は作りもんなんだよな。がっかり感が物凄い。
飛び
よく見ると腰に
あれをこちらに向けられなくてよかったぁ。
今の状態で彼女に対処できるとは思えない。
いつまでも座っているわけにはいかないと思い行動開始。
オレもパンパンとズボンをはたきながら立つと、オレンジがかった赤い瞳をこちらに向けた。
「? なんだ」
「——」
指で何か
少し近寄り
するとそこには指摘されないとわからないような、本当に小さな魔石が
「ああ……。なるほど。詳しい事は分からんがこれが原因であまり声が出なかったのか」
意図が伝わったのが嬉しいのか大きく何回も
「
オレの出る
しかしオレの予想は外れていたようだ。
「? なら……。あ、魔力の
すると更に大きく
今回動けなくなった原因は
恐らく彼女が声を出していたのはこの魔石に
ならばこの魔石に魔力を流すだけで声は戻るということか。
だがなぁ。
今日、かなり使ってしまった。
これ以上使うと下山時に予想外の事が起こったら対処に困る。
年齢と共に減って行ってしまった魔力量。
全盛期ならともかく今の状態で彼女に魔力を流すと、恐らくほぼ全部なくなるだろう。
そう考えていると視線が。
おずおずとみるとそこには期待に
うう“……。そんな瞳で見上げないでくれ。
「……わかった。が、一つ頼みたいことがある」
頭の上にはてなマークを浮かべる彼女。
「オレはこれから下山する。そこに魔力を流すのは良いが、恐らくおれは魔力が無くなるだろう。だから下山の時は護衛してくれ」
まかせろ、と言わんばかりに腰に手をやり胸を張る。
そして
ふぅ。
「あー、あー、あー」
上を向くと声が聞こえる。
しかし透き通った声だな。
「おおっ! 直った! 」
「そりゃぁようござんした」
オレは報われないが。
「よし。まずは」
「!!! 」
にやりと笑みを浮かべて軽く指を鳴らすと周りの炎が消え去った。
あぁ……やはりこいつが炎の壁を張っていたのか。
「しかし魔法で炎を作ることはできても消すことはできたか? 」
「違うぞ」
「? 」
「単なる幻影だ」
「はぁ? 」
「よく思い出せ。周りの木に燃え移らないし何より熱を感じなかっただろ」
手を顔にやり
確かにそうだった。
熱を感じなかった。
パニックにならずにちゃんと観察すればすぐにわかる事だ。
「だが、
「? 」
「いやぁ、
胸を張り、大きな声で言う。怒られるかもしれないと言っている割には笑顔に
が、逃げるという手段を彼女が先に
覚えていないのならば思い出して欲しい。
しかし……どういうことだ?
もしかして……。
「……お前は
「いや違う! 」
そう言い一歩前に出る。
そしてキリッとした顔をこちらに向けて口を動かす。
「私は火の精霊『ホムラ』だ! そしてこの体は私達精霊が人と交流するために作らせ……ゴホン。作られた
……。
「はぁぁぁぁぁぁ?! 」
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