第12話 伏線は早めに回収


「先輩、部員の件ですが」


「ボイン?」


「部員の件ですが」


「……ごめん、ツッコミ難くて悪かったって」


「あんまり辞書から削除された単語でボケない方がいいっすよ? 老人認定されちゃいます」


「ヤな認定だな。ってか、ボイン失くなったの?」


「わたしの胸見ながら言うの、止めてもらっていいすか? もう死語らしいっすよ?」 


「ツキテーさんがなげくな」


「ほーせーさんすか?」


「カチョーだよ」


「偉いんすね」


「その課長じゃないけどね」


「で、部員の件ですが」


「何事もなかったように軌道修正したね」


「同じのクラスの人見 栞ひとみ しおりちゃんをスカウトしよーかと」


「栞ちゃん? あー、前回名前出てた子だ。どんな子?」


「おとなしい眼鏡っ子っす」


「なるほど、明里と真逆キャラね。入ってくれそう?」


「わかんないっすね。まあ、いざとなれば力業で入れますが」


「いざとなるなよ。合意の上てやってくれ」


和姦わかんないっすね」


「お前、親父認定されるぞ? で、なんでその子にした訳?」


「そりゃFカップだからっすよ?」


「それだけ?」


「他に何があると?」


「ある意味尊敬するわ」




  ◇



「先輩、部員の目処がついたら今度は部活申請すね」


「うーん、申請なんか通るのかね? こんな胡散臭い部、アタシだったら受け付けないぞ?」


「その辺はお任せ下さい。しっかり根回ししますんで」


「いやなんか、お前がそう言うと怖いんだけど。何するつもり?」


「まあ、この写真見て下さい。どう思います?」


「これは……佐倉会長? 冷たそーだけど美人だね」


「全身見てどーすか?」


「プロポーションもいいんじゃない? 出るとこは出てるし」


「胸もけっこうありますよね? でもおかしくないっすか? この人、AAのはずですよ?」


「あー! おっぱいリスト! 確かにAAだった」


「そーです。Aカップの更に下のAAっすよ? ド貧乳っすよ?」


「いや、そこまで言わんでも」


「そら巨乳の人にはわかんないかもすけどね。わたしのAカップがミカンだとしたら、AAカップはイチゴ3個分っすよ? ほぼ壁っすよ?」


「何? その例え?」


「某サイト情報っす。因みにFカップは小玉メロンくらいだそーです」


「わかり易いのか、わかり辛いのか、よくわかんない情報だな」


「よーするにこの人は、かなり盛ってると」


「なるほど、それが弱みか。こりゃ、とんでもない秘密だな」


「その辺を取引の材料にする訳っす」


「うわあ、マジでロクでもない」


「いよいよ暗部の名に恥じない感じになってきましたね」


「って事は、あの無駄に思えたおっぱいリストは」


「もちろん、伏線だった訳ですよ」


「回収早いな」


「忘れる前に回収しないとね」










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