フォギーフロッグの怪事件 ~1930年のイギリスにおいて、露出狂、糞便、悪魔、宇宙船などは、街の人々へどのような影響を及ぼしたのか?その疑問に答えてくれる、とある女探偵の怪事件簿~

正妻キドリ

フォギーフロッグの怪事件

0,フォギーフロッグの怪事件 ー前説ー

 1930年のイギリス。


 首都ロンドンの中心地から南西へしばらく進んだ所に、フォギーフロッグという名の街がある。


 その街は古くから、奇妙な事件が頻発することで有名であった。


 







「よし、お前ら。露出狂を捕まえに行くぞ。準備はできたか? 」


 ベージュ色の壁に囲まれ、木造りの家具達が綺麗に並べられた部屋の中。


 女探偵のアリス・レッドメインは、目の前にいる少年とおっさんに向かって言った。


 アリスは、赤毛のふんわりとしたショートボブが特徴的な、少し幼い顔立ちをした女性である。


 彼女の問いかけに、少年とおっさんはそれぞれ答えた。


「うん、できたよ。露出狂の確保に、どんな準備が必要なのかはあんまりわからないけど……」


 困り顔でそう言ったのは、アリスの助手を務める少年、コリン・ロウ。


 ベージュ色の髪と、透き通った水色の瞳を持った、普通の男の子である。


「露出狂を油断させる為に、俺達も裸で行くか。仲間だと思ってくれるかもしれないぞ? 」


 馬鹿げた提案をしたのは、アリスの相談役で、普段はコメディアンとしても活動している、ジョン・オールドマンという男性。


 薄茶色のハンチング帽を被り、黒色のラウンジスーツを身に纏っている、パッとしないおっさんである。


「しょうもない提案してんじゃねぇよ、ジョン。身包み剥いで、テムズ川に放り込むぞ? 」


 アリスは面倒臭そうな顔でそう言った後、黒色のシルクハットと、茶色の木のステッキを手に持った。


「準備ができたなら行くぞ。……露出狂捕獲作戦のスタートだ! 」





 

 この街で起こる奇妙な事件は、通称"フォギーフロッグの怪事件"と呼ばれている。


 これは、口と態度が悪い女探偵と、ジョークの寒いおっさんと、純粋無垢な少年が、フォギーフロッグの怪事件に挑むお話である。


 ……そして、時刻は『露出狂とセレナーデ事件』の始まりまで遡る。

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