五、君は自分でなんとかしてください。
ぐらりと視界が揺らいだのは、
それがなにかを認識したのも束の間、気付けば視界が反転し、身体は宙に吊り上げられた状態になっていた。他の三人を見ても同じような状況で、不意打ちだったのもあったが、その正体を改めて目にした時、
月の光に照らされ、自分たちを捕らえたモノがなにかを知る。
「きゃーっ! 気持ち悪いっ! 私、うねうねした生き物苦手なの! なんとかしてよ、
うねうねとともに粘着質のあるべとべとが纏わりつく感覚に鳥肌が立つのを覚え、真っ青な顔で
「君は自分でなんとかしてください。それよりも、今は事態を把握しないと!」
「なにそれひどい! いやあぁあ! ぬめぬめでべとべとする~っ」
上半身はそれに巻き付かれているが、捕らわれる前に右腕だけ咄嗟に回避したお陰で、
「
右の片腕だけ捕らわれて吊るされた状態の
「は、はい、なんとか······しかし、これは一体、」
巨大
「心なしか、精気を吸い取られているような気もするのですが······、」
捕らわれている右足首の辺りから、徐々に力を奪われているような感覚がある。今のところは大丈夫だが、長引けばこちらが不利だろう。
「本当に大丈夫? あなたは、ただでさえ色々と制限があるんじゃ、」
「いえ、大丈夫ですよ? このくらいなら、数日は持ちます」
え? と
精霊である自分でさえそれなりに負担がかかっていて、この姿もいつまで保てるかわからないのに、ただの地仙でである
「
「問題ありません。この
言って、
「
そのままひと振りしたその瞬間、
解放された
足をついたその途端、再び
どんどん増えていくそのうねうねした長い
雲に隠れていた月が何度目かの姿を現す。
「うぅ······
「
「はい! この
「もう嫌っ! ホントに無理! って、ちょっと!? 自分だけずるいっ」
騒ぐ
片腕だけ捕らわれていたので、自分よりは抜けるのは楽だったのかもしれないが、いつの間に! と目を瞠る。
「
その横に追いついて、
ふたりを再び捕らえようと、巨大
しかしどういうわけか、そのすべてがふたりを避けるように逸れていく。その様子を上から見ていた
(あれはわざと避けているのではない。その意思は確実に捕らえようとしているのに、なぜかふたりの因果がそうさせないようにしている?)
ふたつが揃うことで、不思議な因果が生まれている? いやまさか、と思うが、事実そうなのだ。
(あの
感心するように何かを呟き、そのまま考え込んでいる
「もういいっ! 自分でなんとかするもんっ」
その次の瞬間、
「気持ち悪いモノは、全部········焼き尽くす!」
「ちょっと、まっ······」
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