26

26


 何もしないで過ごすのは時間が勿体ないから、僕は周囲のゴミ拾いをしてタックの帰りを待つことにした。少しは体力を消費しちゃうけど、この態度なら問題はない。


 それにどんな形であっても世の中のお役に立ちたいしね。魔族を倒すことだけが大事ってわけじゃなくて、こうした小さな善行の積み重ねも必要だと思う。自己満足だって言われればそれまでなんだけど、それでもいい。僕がやりたいと思うからやるんだ。


 早速、僕は荷物の中からボロボロで捨ててもいい布袋を取り出し、そこに拾ったゴミを入れていく。もっとも、細かい塵や埃はほうきなどがないと無理なので、手や指で掴める大きさのものに限られるけど。


 ――と、最初のうちは順調に作業を進められていた。


 でもしばらくして僕は急に気分が悪くなり、体が動かなくなってしまう。さらに視界が暗くなっていき、世界がグルリと揺れたような感覚に陥る。そして程なく全身から力が抜け、意識を失ってしまったのだった。


 自分でも気付かないうちに、肉体は限界を超えていたのかもしれない……。



 BAD END 8-5

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る