覚醒の門の前で
【ひどすぎじゃないの?】
[いや、必要なプロセスよ]
イシリンの言葉にそのように答え、アルカの姿をまた見た。
アルカとの模擬戦。その経過は私の予想通りだった。アルカは私にできる限りのことをしようとしていた。でもアルカと私の間には絶望的なほどの格差があった。
そして私は少しもいい加減にしてくれるつもりはない。
「っ、今度は……!」
――天空流〈ホシアメ〉
アルカが作り出した二百本余りの魔力剣。それが弾幕となって私に飛んできた。でも私は両手の双剣だけでその全てを破壊し、アルカに近づいた。そして十六回の斬撃でアルカを吹き飛ばした。
ごく平凡な過程だけど、アルカの肉眼では見ることさえできないほど速く。
「っ、あ……!」
私の攻撃はアルカにとって羽のように感じられるように加工された。でも直接的な傷と苦痛を防止するだけで、力に押されて飛ばされちゃうことまでは防いでくれない。そしてそう飛ばされて結界の壁にぶつかっただけでも結構痛いだろうね。
そう考えると心が痛い。でも今だけは厳しく決心した。
【一体何のプロセスなの? どう見ても力でアルカを叩きのめしているとしか見えないけれど】
[だからそれが必要なプロセスだということよ。今のアルカはまだ自分の力の本質が何なのか理解していないわ。それを目覚めさせるには、これが一番早い方法よ]
実は覚醒のためだけでなく、心理的にも必要だ。アルカは技術と経験の不足を『万魔掌握』の無限の魔力で埋める傾向があるから。でもそのように力に依存する方式は、より大きな力に出会うとどうしようもないわよ。
今のように。
「はああっ!」
――天空流〈一つの星〉
アルカの手に大量の魔力が集まった。平凡な魔力剣数百本を一つにまとめた莫大な魔力の剣。それを握って飛びかかるアルカを相手に、私は〈魔装作成〉で作った平凡な魔力剣を振り回した。
剣と剣がぶつかり、壊れたものは……アルカの魔力剣だった。
「どうして……!?」
「剣とは別に、一撃に込められた力が私の方が貴方より大きいから」
もう一度剣を振り回した。物質を崩壊させる雷電、『万壊電』の魔力が洪水のように降り注いだ。アルカはその莫大な破壊の波に飲まれた。
さっきから私は紫光技の特性模写を『万壊電』一つに固定し、アルカに大量に浴びせていた。まるで彼女を染めようとしているかのように。
いや、〝ように〟じゃない。
【魔力をアルカに浴びせること……それが貴方の目的なの?】
[意図は合っているけど目的じゃないわ。手段だよ]
私は一瞬にして攻勢に切り替えた。
首、頭頂部、鎖骨、脇腹、骨盤、腰、太もも。身体の所々を斬る。アルカの体が傷つくわけじゃないけれど、数で言えば一秒に数十回の斬撃がアルカを容赦なく制圧した。
「まだ……です!」
――天空流〈星の翼〉
アルカの背中に大量の魔力が集まった。
「へぇ。その技が使えるようになったわね」
私は率直に感嘆の言葉を口にした。
アルカの背中に魔力の翼が生えた。いや、正確に言えば翼ではない。魔力で作られた魔力剣が背後に集まって、まるで翼のような形をしたのだ。
けれども、あの翼を成す一つ一つが単純な〈魔装作成〉ではなく〈一つの星〉だ。使用する魔力量だけを考えると奥義級の技と見てもいいほど。
そしてそのように大量の魔力を使う技なので、魔力に生じた非常に微妙でかすかな変化ももう少しよく感じられた。
【魔力が変わったわね? この感じは……まさか貴方が狙うのが……】
[そうよ。アルカはまだ自覚がないみたいだけどね]
アルカの〈星の翼〉の剣が一斉に私を狙った。迎撃するのは簡単だけれども……ここではわざと大胆にやらかしてみようか。
――天空流〈星の翼〉
私の背後に紫色の魔力剣の翼が展開された。
アルカのものよりも濃密で多くの魔力が圧縮された剣の翼。それでアルカの魔力剣を全部破壊した。それでも剣の数がかなり残っていて、全部アルカに浴びせた。アルカはまた吹き飛ばされ、結界に激突した。
その頃になると、アルカは方針を変えた。武器を作り出したのは同じだったけれど、作り出した武器が変わったのだ。
それは弓。
装飾などはないけれど、流線型の胴体がかなり流麗に見える弓だった。直後〈星の翼〉もまた展開されたけれど、今回は魔力剣ではなかった。長くて巨大な矢の翼だった。
私がアルカに向かって跳躍すると同時に、アルカは私に矢を放った。
――アルカ式射撃術〈ホシクモ〉
魔弓の力でさらに増幅し加速した魔力の矢が雨のように降り注いだ。
アルカがもうこの技に達するなんて、少しだけど心から感心した。この技はゲームで中後半になってようやく習得できた技だから。必殺技級の威力をものすごい連射力で浴びせる技なので、私も愛用していた。
今の私には特別なことはないけどね。
〈ホシクモ〉の威力と連射力は凄かったけれど、私はすべての矢を剣で切り落としながら突進した。そしてアルカの目の前に到達した瞬間、剣に大量の魔力を集中して一気に振り回した。
――天空流〈紅炎〉
巨大な斬撃の嵐がアルカを襲った。
「きゃあ……!」
私はその嵐の中に飛び込んだ。そしてアルカを見つけるやいなや剣を振り回した。アルカはすぐに魔力剣を作って防いだ。でも私の剣を中心に魔力が爆発し、アルカはまた吹き飛ばされた。
【……そんなに追い詰めたら、アルカの心が先に折れるんじゃない?】
[それこそこの世で一番余計な心配なのよ]
まったく、心配ばかりする奴なんだから。
イシリンの心配とは異なり、アルカは依然として戦意に満ちた目をこっちに向けた。魔力もまだ好戦的に沸き立っていた。そしてその魔力の感触が目立つように変わったことを、私は確実にキャッチした。
……いいわね。ほとんどできたわよ。
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