不穏な気流
しかし、自責する気持ちだけは明らかだった。
「私のせいなのよ。私がベインの心を取り戻せなくてこうなったの」
「とんでもないこと言わないで。二年間どれだけ努力したのかは私の目ではっきりと見たよ。それを一方的に断ったのはベイン皇子の方よ」
セイラは断固として言ったが、パメラは依然として自分を責めた。自分がベインとの関係を改善できなかったため、彼の心がますます鋭くなり、ついに婚約者にあんな強圧的な態度を取るようになったと。
その考えを理解するというより、すでにパメラの口で何度も聞いたセイラとしてはため息が出るだけだった。
「パメラ。昔の貴方の態度には問題があったかもしれない。でも二年間十分に頑張ったでしょ。それでもベイン皇子は貴方の努力を見向きもしなかったじゃない。いくら頑張っても相手が受け入れなければ意味がないよ。それは貴方のせいじゃないじゃない」
「でもベインがあんなに私を断るのは結局私のせいだもの」
「……そんなに根本まで遡っちゃったら希望がないじゃない」
このような会話も一再ならずのことなので、セイラは結局ため息をつきながら首を横に振るしかなかった。彼女の目はアレクに向けられた。彼が口を開いた。
「パメラ。俺の皇女様。多くのことに責任を負おうとするのはもちろん美徳だ。実際にベイン皇子が歪んだことには責任があるかもしれない。でも今を無視したまま、人の過去だけを見つめるのは本人の過失だよ」
〝俺の皇女様〟という言葉にパメラは顔を赤らめた。だがその後の言葉のため、再び表情が真剣になった。
「人の印象ってそんなに簡単に変わるものじゃないからね。結局私がそのようにさせたもの」
「それはそうだ。でも目に見えるほどの努力を二年もしたじゃないか。俺が思うに、ベイン皇子は単純に姉を憎んでいるのではないよ。姉が変わったことを、過去とは変わったことを認めたくないように見える」
アレクの話を聞いていたセイラがふと思い出したという顔をした。
「そういえばゲームでのベイン皇子はあれほどではなかったよね。傾向は同じだったけど、暴言や態度は今の方がもっとひどくなったみたい。パメラが変わったから余計に神経質になるんじゃないかな? もちろんレイナ様に浴びせた暴言は決して許されないけれども。そもそもレイナ様が寛大に見逃してくれなかったら問題になるような状況はもう多かったし」
パメラの表情はずっと良くなかったが、絶望はしなかった。
ベインがああなったのは自分のせいだというのは彼女の本心だ。しかし、だからといってあきらめるつもりはない。ベインのためにも。特に、今までは暴言を吐いても二人きりの時ほどだった。レイナは彼を嫌っているが、それでも婚約者だから彼の名誉のために隠してくれた。だが今日のように広い所であんな暴言を繰り返したら隠すこともできず、レイナの忍耐心にも限界があるはずだ。
「今回の討伐祭で勝負をかけるわ。必ずベインの心を取り戻すわよ」
「……はぁ。本当にしょうがないんだから」
「ハハ。でもパメラがこんな皇女だから、俺たちも本気で従うだろ?」
「それはそうだよ。だから私も聖女として誠心誠意手伝ってあげるよ」
パメラはニヤリと笑った。
「いや、聖女としての助けはいらないわ。友達としての役に立てばいいのよ」
「本当にもう、言葉はきれいにするんだから」
パメラはもう一度、ベインの向きを一瞥した。
勝負をかけるというのは虚勢ではない。ベインの性格と行動、そして討伐祭の特性から、彼が何をするかは予想している。その予想をもとに彼を〝攻略〟するつもりだ。
いざ〝ヒロイン〟であるセイラは万が一の強制力のためにベインと会わないようにパメラの隠蔽魔法を借りているのに、悪役令嬢であるパメラがベインを攻略しなければならないなんて。本当に皮肉なことだと思いながら、パメラは苦笑いした。
***
「討伐祭のルールについての説明はこれで終わりにします。最後に優勝褒賞は、皇家から直接優勝者の願いを叶えます。もちろん現実的な限度内で」
騎士団長の演説を聞き流し、ベインは隣に立ったレイナを振り返った。本当に不本意だが、一応婚約者だからこそこんな配置になった。
「レイナ。本当に俺のチームに入らないのか?」
「私がどうしてそうしなきゃならないんですの? 私にも厳然と自力で参加する権利がありますわよ」
「婚約者の義務を軽視するのがアイナリド侯爵家の教育か?」
「そろそろ皇家の教育水準が疑われますわね。婚約者という存在に一体何を期待しているのかは分かりませんが、戯言はいい加減にしてください」
レイナは不快感満々の顔でベインを睨んだ。
「いつも感じますが、ベイン第一皇子殿下とやり取りする価値がありません。ご存知ですの? 私がこのように露骨に無礼な言動をとること、皇帝陛下と皇后殿下ももうご存知ですわよ。そして殿下が私にどんな態度を取っているのかも。陛下が私とアイナリド侯爵家にいかなる制裁も加えていないというのはどういう意味なのか、よくお考えください」
「無礼な……! 婚約者の本分を果たせない者は俺の方がお断りだ」
レイナの眼差しに軽蔑が広がった。しかし、一方では諦めたような気配もあった。
「ふん、勝手にお考えください。それなりに婚約者として誠意を尽くした忠言でしたが、受け入れていただかないのならもう気にしません。もう私が殿下に諫言することは二度とないでしょう」
レイナはまた騎士団長の方に視線を向けた。その横顔が明確な拒絶の意を表していた。ベインは歯ぎしりをした。
「こいつもどいつも……いつも俺を無視する。必ず後悔させてやる」
「ご自分が無視されることをしているということくらいはご自覚ください」
「諫言は終わりだと言わなかったか?」
「あら、失礼。バカを見ると我慢できない性格ですのでつい」
感情の火花が散ったが、魔法の火花は散らなかった。どうせすぐ討伐祭で競争することになるから。
自分が勝つ――皮肉なことに、仲の悪い二人はその瞬間同じ考えをしていた。
―――――
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