転生公爵令嬢の幸運極振りな異世界ライフ~ブラック大学院生だった私は異世界でスローライフが送りたい!~

@TOKAGE123

第1話 転生しよう

「い、一体何が…」


鏡の前で私は状況を理解できず呆然としている。


なぜかって?私は、今の今まで大学の研究室で修論のためのシミュレーションを行っていた。


…うちの研究室は所謂ブラック研究室というやつでコアタイムは日曜以外毎日、M1の私は修論と就活に追われ地獄を見ていた。


…それがいつの間にか古臭いヨーロッパ風の部屋の中の鏡の前に立ったいたのだ。


訳が分からない。


しかも異常はそれだけではない。


鏡に映る私…


髪の毛は肩のあたりまで、前髪に黒いメッシュが入っいる銀髪の女の子だ。年齢は8歳位かな?


全体の容姿は非常に整っており人形のようだ。8歳でこれなのだから将来は傾国の美女になりそう。


…一つ言えることは明らかに日本人ではないということ。


そう私は!…私は?あれ私の名前ってなんだけ、どんな顔だったけ、男だったけ、女だったけ…何も思い出せない。


ブラック研究室の大学院生ってことだけは思い出せるのに!


どうしよう!こんなことしている場合ではない、修論が!まずい!


「ツ!?痛いッ!?」


と、突然強い頭痛に襲われ片膝をつく。


同時に頭の中に何かが、記憶がながれこんでくる。これは…


それはこの体の持ち主と思われる、「リア・コーザリティー」の8年分の記憶。


頭痛が収まるころにはすべて思い出していた。


…もう、何が何だかわからない、泣きそう。


―やあ―


そんな時、突然部屋に、男とも女ともとれない中性的な声が聞こえてくる。


「誰っ!?」


―ああそうだねぇ、僕の定義は色々とあるけど端的に、君たち人類に分かりやすく言うと「神」、とかかねぇ―


「神…ですって?」


訳が分からない。


―まあいいや、取り敢えず端的に君の状況を説明するとね、君は元の世界で命を落とし、こちらの世界に前世の記憶を封印して転生したんだよ―


「異世界転生…」


あの…最近なんか流行ってるって聞くアニメとかの…


―理解が早くて助かるよ、そして今前世の記憶が復活したんだね―


いや全然理解できてない!どゆこと!


―まあとにかく、そういう事だから、これからもがんばってね、あっ、あと君は運がすごくいい―


ええええ!?ちょ、色々聞きたいことが、て、運がいい?どこが!?


―ごめん、もう時間だ、じゃあねー―


「ちょっと!?」


が、それっきり神を名乗る謎の声は聞こえなくなってしまった。


……ええ(困惑)


…なんかいつの間にか異世界転生していて、なんか自称「神」が出てきて爆速で状況をてきとうに説明して去って行ったんだが?


…落ち着け私、とりあえず状況を整理しよう。


えーと、修論と就活がまずい…は置いといて。


記憶によると、どうやら私は異世界に公爵令嬢として転生してしまったらしい…わかけがわからないよ。


この世界はどうやら魔法があり魔物がいるファンタジーな世界のようだ…魔王とかもいるらしい、ちなみその魔王は世界最強の存在で、今私がいると思われるアル大陸征服を宣言しているとか、あれこの世界ってもしかして割とピンチ?


時代は地球でいう中世か近代あたり…ならなんで私の髪は短いのだろう。女性のショートカットが出てきたのって元の世界では一次大戦後だったはずなのに…まあ、異世界に元の世界の常識を当てはめてもしかたがない、か。


気を取り直して、私はリバース王国、コーザリティー公爵家の長女であるらしい。


リバース王国、国家がひしめくこのアル大陸においてそこそこ大きな国で人口は3300万人、いわゆるミドルパワ―というやつかな。


で、私の属するコーザリティー公爵家は2000年前の建国時から存続する王国最古の家。しかしその格式の高さの割に領地は片田舎であり、そこらの男爵家とほぼ同じ規模であるらしい。…なんでやねん、これじゃあ男爵令嬢と大差ないのでは…


しかし王国は伝統を重んじる気風故に貴族社会でコーザリティー家は結構な扱いを受けるという。まあ仮にも公爵家だもんね。


アル大陸にはかつて大陸国家インガ帝国があったらしいけど…まあ今はどうでもいいか。


あ、ちなみに私が着ている服は真っ赤なブレザーに真っ赤なスカートだ、この国では貴族の服は暗黙のルールによって大体決められているらしい…なんか豪奢な学生服って感じだね。


後は神を名乗る謎の声が言っていた幸運地がどうとかって…確かすごく高いとか言ってたよね?じゃあそのまんま私は常人より運がいいってことなのかな?うーん。


はぁ、まあいいやもう…取り敢えず現状把握完了!


さて、これからどうしよう?


「リア様、どうなされましたか?」


「ひゃい!」


突然後ろから声を掛けられ変な声を出してしまう私。


振り向くとそこにはメイド服を着た女性が立っていた。


「え、えーと」


「リア様、鏡に向かってずっと話しかけてなさっていましたが、どうなされましたか?どこかお体に不調が…?」


あれ、全部見られてた!しかも私、声に出してしまっていたらしい!


「だ、大丈夫よ、ちょ、ちょっと人と話す練習を…」


我ながら私はどんな言い訳をしているのだろうか、なによ、人と話す練習って…


「は、はぁ」


メイドさんが困惑してる、さもありなん。


「と、とにかく大丈夫だから!」


「な、なるほど…もし何かありましたらいつでもお呼びつけください」


そういってメイドさんは一礼すると部屋から出ていった。


ふぅー、なんとかごまかせた…のか?


…まあいいやもう気にしないようにしよう。


とにかく!リア・コーザリティー、次の行動を考えるのよ!


修論に就活…ではなくて!


…そうだ蔵書庫にいこう!


コーザリティー家は領地は小さいけど屋敷はそこそこ大きい、古いけど。それに歴史ある家、らしい。


その結果、蔵書庫は結構な規模がある。そこでこの世界についてもっと調べよう!


方針を決めた私は記憶を頼りに蔵書室へ向かう。


…そこで何が待ち構えているのかもしらずに。

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