染井さんと俺  ~ロミオが俺でジュリエットが君で~

唐突に

「なあ吉野」

「何だ、結弦」

「俺達も文化祭で劇とかやらね?」

「何で?」

「だって面白そうじゃん」

「絶対、大変だろ」

「でも先輩達は、劇の練習をしつつ、試合もしてたんだよな」

「あの人達がおかしいんだよ」


 練習後のミーティング。

 結弦の行動は早かった。

「皆、サッカー部で劇やろうぜ!」

「え、劇?」

「何で?」

 当然の如く、部員からは疑問の声が上がる。

「先輩達の代で大盛況だったみたいでさ。俺達もやりたいじゃん」

「面白かったよ~」

 いつの間にか、先輩が部室にいる。そろそろ当たり前になってきた。


「劇をやりたいか~‼」

「「「「おーーーー」」」」

 そんな感じで結弦に乗せられた部員達が盛り上がってしまって、俺達サッカー部は、何故か文化祭で劇をやることになってしまった。

「参考までに、僕達の頃の春ちゃんINワンダーランドを鑑賞します」

先輩がDVDを取り出すと、先生は一瞬、虚無の顔を見せて「じゃあ俺は職員室でプリント作ってくるから」と言って部室を出て行った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る