先輩と俺②
夢水 四季
先輩と俺 予告編 ~もしも続きがあるのなら~
こんなあらすじで済まないと思っている。
「は~い、皆さんこんにちは~。冬月雪兎で~す」
「あ、はい、有明吉野です、……ていうか、皆さんって誰?」
「読者の皆さんだよ」
「ちょ、始まってすぐにメタ発言とかやめて下さいよ」
「これくらいのインパクトがないと、これからの業界やっていけないでしょ」
「だいたい、この作品は何らかのラノベ大賞の応募作になる予定なんですから。こんな始め方で奇を衒ったつもりでも盛大にスベっている可能性高いですからね。普通に一次選考落ちますからね」
「もう吉野は心配性だなぁ。大丈夫、何とかなるって」
「先輩は楽観的過ぎます」
「人生意外と何とかなるもんだって。僕だってけっこう波乱万丈な人生を送ってきたけど、ほら今はこの通り生きてるし。何度か死にかけたけど」
「不安だなあ……」
「作者のネガティブな発想を受け継いだのが吉野君で、ちょっとの自信を秘めているのが僕」
「作者とか言うな」
「で、その作者から与えられたミッションがあるんだけど」
「何ですか?」
「前回までのあらすじを会話形式で面白おかしく紹介しろ、ってさ」
「はあ……。本当は完結させなければいけないはずが、作者の力不足及び無駄話でさえも削りたくないという自己満足から生じた尻拭いを俺達に押し付けていると」
「ま、そういうこと」
「仕方ないですね。これやらないと本編にも進めないですし。えっと、何から話したら良いものやら……」
「じゃ、僕が説明するね。……バイエル王国の王直属の部隊・黒の協奏曲に所属する有明吉野中尉は上官の冬月雪兎大佐の命令に背き、単身敵国に潜入する。敵の城まで辿り着いたが、冷血宰相・真葛秋人に見つかってしまう。牢に閉じ込められてしまう吉野。宰相の拷問で意識を失いかけたその時、雪兎が華麗に彼を救い出すのだった」
「何、物語創作してるんですか! そんな異世界軍記物じゃないでしょ。俺は普通の高校生、先輩は部活のOB。真葛さんもOBで、今は社長」
「はいはい、次は真面目にやるって。……吉野は一目見た瞬間に彼のプレイの虜になった。冬月雪兎、高校最速とも言われるピッチャーだ。まさか彼も同じ高校だったとは。しかし、何故こんな弱小野球部に? でも、憧れの冬月雪兎と野球が出来る! 『俺とバッテリーを組んでくれ』迷わず雪兎の相方を願い出る吉野。『もう野球は辞めたんだ』冷たい声でそう言い放つ雪兎、実は彼には悲しい過去があった。『俺はそれでもお前と野球がしたいんだ!』雪兎の過去も受け止め、涙ながらに訴える吉野。『仕方ないな、僕が甲子園に連れてってやるよ』こうしてバッテリーになった二人。弱小野球部に元プロのやさぐれコーチ杜若立夏を迎え、新生野球部はスタートしたのだった。しかし、真葛秋人率いる成金高校が甲子園の前に高い壁として立ちはだかっていた。果たして、金に物を言わせて集めたスター軍団に吉野達は勝てるのか⁉」
「全然真面目にやってないじゃないですか⁉ 台詞まで考えて盛大にふざけ過ぎです! 何で野球部になってんですか⁉ 俺達はサッカー部ですよ!」
「って、言う程サッカーの描写なかったじゃん」
「うっ、それは……」
「一緒にご飯食べたり、思い出話したり、旅行したりはしたけど、僕、吉野とサッカーした覚えないんだけど」
「そ、そういえば、先輩とボールを蹴り合ったことないかも……」
「まさか、今更気付いたの?」
「だ、だって、先輩はいつも見てばかりで!」
「そりゃ、顧問でもコーチでも無いしね。それに、吉野の方から何も聞かなかったじゃん」
「聞いたら指導してくれるんですか?」
「嫌だよ。僕教えられることないもん」
「そんなことないでしょう? 仮にも全国優勝したチームのエースなんだから」
「君の憧れの先輩は尊敬出来るような人じゃないかもよ?」
「ああ、それは知ってますけど」
「そこは否定してよ~。地味に傷つくなぁ」
「先輩は、王子みたいな外見とは裏腹に趣味は熊狩りという殺伐した生活を送っている人です」
「ま、そういう人で~す。ちなみに、真葛秋人こと、さねちーはお金大好きゲイ社長で~す」
「真葛さんへの熱い風評被害が……」
「そんなことより、まだ紹介してない人がいるよね。サクッとやっちゃおうか」
「今度こそお願いしますよ」
「分かってるって。……ごく普通のありふれた日々。つまらない日常を壊してくれたのは、彼女だった。夏休み明けに転校してきた美少女、薄桜春。俺、有明吉野はひょんなことから彼女と言葉を交わすようになる。文学をこよなく愛し、小説家を志す春。彼女のひたむきな姿に次第に心が惹かれていく俺。しかし、春の婚約者だという真葛秋人が現れる。そして、秋人から知らされる春の秘密。彼女は二十三世紀からタイムマシンに乗ってやってきた未来人だった。過去の人間との恋愛は禁止されている。『それでも、俺は春が好きだ!』最高に切ないラブストーリーをあなたに。『時をかける春ちゃん』この夏、公開」
「いや、もう何となく予想はしてたんですけどね」
「『今度こそ』なんてもうフリにしか聞こえなかったしね」
「全く、黙って聞いていれば何なんですか⁉ 映画のCMですか⁉ 何処かで聞いたことのある設定ばかりだし。それに、何でいつも真葛さんが俺の前に立ちはだかってるんですか⁉」
「ラスボスなんじゃない?」
「んなバカな……。あ、あと、先生がヒロインになってますけど、全然違いますからね。薄桜春先生は俺の担任で、サッカー部の顧問。確かに、文学大好きで、女みたいな顔してますけど、実際の性別は男ですから! それに、夏休み明けに転校してきたのは長月結弦。俺のルームメイトでサッカー部に入部」
「他には?」
「…………お、俺の、友達」
「はい、その通り~。よく言えました~。そうそう、友達のいないぼっちの吉野に友達が出来て、七年前に全国優勝をしたきりでその後が続かず休部状態だったサッカー部を何とか立て直そうとしたところで前回は終わったんだったよね。さあ、この後はどうなるのかな~?」
「ざっくりとまとめましたね!」
「ま、こんな感じで僕達が愉快な会話を繰り広げていくお話です。ちなみに、サッカーは今回もあまりしません」
「いや、そこはやりましょうよ!」
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