第7話 卒業祝いだ、受け取れ!教師デュエリスト「クロス」 

 クロス先生の場に突如召喚された「迷宮の番人ーデビルガーディアン」。攻撃力は3000でこいつがいる限り「迷宮」トラップは自分の場にモンスターがいても使用可能になる。一応パーフェクトダイヤはモンスターと戦闘する場合攻撃力を3500まで上げられるから次の俺のターンになれば倒すことはできる。だがあのモンスターを残しておくとかなりやっかいなことになる。このターンのうちに倒しておかないと・・・。

「この瞬間速攻魔法 《孤高の称号》発動!バトルフェイズ中に相手がモンスターを特殊召喚した時、自分のモンスター1体の攻撃力を倍にする!これで《珠玉竜ーシャイニング》の攻撃力を3000にする!」

シャイニングの攻撃力がデビルガーディアンに並んだ。相打ちに成功すればこっちのペースに持ち込める。

「バトル!シャイニングでデビルガーディアンに攻撃!」

「罠発動!《螺旋の迷宮》!これでシャイニングの攻撃を無効にしてその攻撃力分のダメージを与える!」

「なにっ!?」


ユーグLP4000→1000


まだ罠が残っていたか・・・。しかもこっちのLPはたったの1000、ギリギリまで追い詰められた・・・。やっぱりクロス先生は強い!しかし、もう手札を使い切ってしまった。結局デビルガーディアンも倒すことができなかったしこのままターンを渡すのはかなりきついが・・・。

「僕はこれでターンエンドです」

「じゃあ私のターン!・・・ドロー!」

先生の体をオーラが纏い、デッキから光が迸る。俺はこれを「デステニードロー」と呼んでるが、他の人はこの現象を特に不思議にも思ってないので名前なんて付けていない。

「私はフィールド魔法、《不落の迷宮ーラビリンスウォール》を発動!これで私のフィールドの《迷宮》罠カードはラビリンスウォールに守られてカード効果で破壊できない。そしてデビルガーディアンでシャイニングを攻撃!」

攻撃力は互いに3000だが、《不落の迷宮ーラビリンスウォール》の効果でデビルガーディアンは墓地の罠カードを除外することで破壊を無効にできる。よって破壊されるのはこちらのシャイニングだけ。

「罠発動!《孤高の意志》!これでシャイニングは破壊されません!」

「こっちもラビリンスウォールの効果で《螺旋の迷宮》を除外してデビルガーディアンは破壊を免れる」

互いのモンスターは破壊されなかったが・・・。

「さらにデビルガーディアンの効果を発動!1ターンに1度除外されている《迷宮》罠カード1枚を自分の場にセットできる。これで《螺旋の迷宮》をセットさせてもらうよ。さらにカードを1枚伏せてターンエンド」

こっちの罠を誘発して、さらに《螺旋の迷宮》を再びセットした。デュエルに無駄がない。先生の場には伏せカードが2枚。しかも《螺旋の迷宮》があるからこっちのモンスターで攻撃しても逆にダメージを受けて俺のライフは尽きる・・・。

「僕のターン・・・行きます!デステニードロー!!!」

「この瞬間罠カード《迷宮のいざない》発動!このターン相手は必ずフィールドにいるすべてのモンスターで攻撃をしなければならない!もし攻撃をしなければターンの終わりに3000ポイントのダメージを受ける」

こっちの攻撃を強要するカードまで出してきたか。これで罠があるとわかっていても攻撃しなきゃいけない。しかも《螺旋の迷宮》をどうにかしようにも《不滅の迷宮ーラビリンスウォール》の効果で破壊することもできない。もう、ここは賭けに出るしかない。

「墓地の《孤高の意志》の効果発動!墓地のこのカードとこのカード以外の《孤高》魔法、罠カードを1枚除外することでデッキからカードを1枚ドローできる」

デステニードローはデュエル中1回しか使えない。このドローはデステニードローではないが、正真正銘俺の運命をかけたラストドローだ!頼むぞ、このドローにこのスクールでの6年間の想いを賭ける!

「ドロー!!!!!」

来た!!これで勝利に必要なピースは揃った!!

「僕はシャイニングをリリースして《珠玉竜ープレシャスクリスタル》をアドバンス召喚!このカードもレベル7ですが《珠玉竜》1体をリリースしてアドバンス召喚できる!プレシャスクリスタルの効果発動!召喚に成功したとき相手フィールドのカード1枚を選択して効果を無効にする!これでデビルガーディアンの効果を無効にすることで《螺旋の迷宮》は発動できなくなる」

《迷宮》罠カードは自分のフィールドにモンスターがいるとき発動できない。デビルガーディアンの効果で発動可能になっているが、こいつの効果さえ使えなくすれば《迷宮》罠の発動を封じられる。

「さすがユーグだね、《迷宮》罠の弱点を突いてくるとは。だが私の墓地に《迷宮の誘い》があるからデビルガーディアンは1度破壊を免れる。これは君にとって想定外なはずだ」

そうだ。がなければここでとどめを刺すのは無理だった。

「バトル!パーフェクトダイヤでデビルガーディアンを攻撃!」

パーフェクトダイヤの攻撃力は2500だがモンスターに攻撃する時1000ポイントアップし3500になる。デビルガーディアンの攻撃力は3000だから500ポイントのダメージ。


クロスLP1500→1000


「墓地の《迷宮の誘い》を除外して破壊を無効にする。これでデビルガーディアンがフィールドに残る。君のプレシャスクリスタルは《迷宮の誘い》で攻撃を強制され、その攻撃力は2000。もし攻撃すれば逆に返り討ちに遭い1000ポイントのダメージを受けて勝負は決まる」

「先生、僕のデッキはパワーデッキです。どんなに強大なモンスターが立ち塞がろうともなぎ倒していきます。これがラストドローで引いた切り札です!!

速攻魔法 《孤高のプライド》発動!相手モンスターの攻撃力が戦闘する自分のモンスターを上回っている場合その攻撃力を倍にする!これでプレシャスクリスタルの攻撃力は4000!!いけーー!!クリスタル☆キング!」

プレシャスクリスタルの咆哮がデビルガーディアンに直撃。今度こそ破壊することに成功する。


クロス先生LP1000→0 ユーグwin


「すごいデュエルだったぞ二人とも!」「最高だったぜ!」

 客席から俺たちのデュエルを称賛する声が響く。俺は務めを果たしたってことか・・・

「先生、最高のデュエルでした・・・うっ・・」

「・・・おいおい、勝者が泣いててどうするんだ?」

「先生だって・・泣いてるじゃないですか・・・」

「教え子がこれだけ成長してたら感動するものだよ・・・」

自分でも驚いていた・・まさかこんなに涙が流れてくるなんて・・。

「クロス先生・・・今まで、僕たちの先生でいてくれて・・ありがとうございました・・僕にとって一生忘れることのない最高の6年でした」

「まったく、大げさなんだよユーグは・・。君の人生はこれからもずっと続いていくんだ。君はまだスタート地点に立っただけだよ。『一生』なんて語るのはまだ早いよ。・・・それに卒業してもずっとお別れってわけでもないしね。・・・たまにはスクールに帰ってきてもいいんだぞ。その時は精一杯もてなすから・・・。すばらしいデュエルだったよユーグ、君のデュエルはこれだけ多くの人の心を引き付けたんだ。君ならきっと自分だけのデュエリストの道を切り開いていける」

クロス先生が手を差し伸べてきた。俺はその手をとって握手に応じる。ずっと手で涙を拭いていたからきっとべちゃべちゃなんだろうな・・・。とても勝者の顔ではないけどフィナーレを飾るにふさわしいデュエルをした俺たちにたくさんの拍手喝采が送られた。




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