ぶい!コネクト

@Tedzone

第1話

始まりのV


 桜舞い散る季節というものの、俺は行くあてもなく、右も左もわからぬ街で路頭に迷っていた。父親は俺が生まれる前に行方を絡ましたから顔も見たことないし、会いたいとも思った事はない。母親は女手ひとつで俺を育ててくれたが、正直言って我が家は金に困っている。母さんは所謂、夜の仕事で夜な夜な身を削って働いているが、どうやらこの街で今の仕事よりも給料がたんと貰える店で雇ってもらえることになったとか。その流れで俺は母よりも一歩遅れてこの街に来たが、そんなところで困ったことになった。母に教えられたアパートに来たのだが、言われた部屋はカギがかかってて入れない。母親とも連絡が取れない。一番困ったのが、管理人さんに問い合わせてみたが、新しい入居者なんて聞いてない、そんな名前は契約者に無いとの事で、今俺は行く宛が無く、近くの駅前にある公園のベンチでこの後の事について作戦を練っているところだ。俺の母は、少しおっちょこちょいなところがある。ADHDという発達障害らしいが、本人はあまり気にしていない。小さかった頃も、参観日の日を間違えて来たり、遠足の日を忘れて弁当を用意してもらえなかったりしたが、それは仕方ない。俺自身、母のそういうところは慣れている。

 それにしても、田舎育ちの俺には、この街の、いわば都会の喧騒とやらに馴染めないでいる。行きゆく人の数、すれ違う人々、皆スマホや下を見るばかりで、周りを気にしていない。俺はというもの、あの人だかりを回避するのに必死で、辺りを見てもビルや賑やかな店通りに関心と恐怖心で、キョロキョロしながら歩いてきた。田舎者丸出しだ。この都会の雰囲気に慣れないといけないな。

 ふと駅の方に目を向けると、ド派手に転んだ女性を発見した。かなり勢いよく転んでいたので、大丈夫かなと不安になり見ていたが、行きゆく人達は誰も気に留めない。都会の冷たさをみに染みて感じる。気は失ってないようだが、なかなか起き上がらないので、俺はあまり女性に慣れていないが、勇気を持って声を掛けてあげることにした。

「あのー、大丈夫ですか…?」

歳は俺と同じくらいか、かなり整った顔立ちで、正直すげー可愛いと思った俺。服装は俺みたいな田舎者者からしたらハイカラなイメージだが、この街に来てから派手な服装なんて山ほど通りすがったので、ここでいうところの女性の一般的な服装なんだろう。女性は、膝を擦りむいたらしく、とても痛そうにしていたが、見たところ骨などには以上は無さそうだ。しどろもどろな俺と、痛みを忘れてキョトンとした目でこちらを見上げる女性。俺は次の行動を、無い頭で必死に考えて、行動に移すことにした。

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