投票率向上化政策な件

 さすがに投票率が20%を下回ってきたことに危機感を覚えた政府。

 原因ははっきりしている。

 投票行動が盛んな元気な高齢者がいなくなったからうえに少子化だからだ。

 20パーセントの人々のほとんどは与党支持なのだから問題はないはずなのだが。 

 ほとんどが補助金目当ての企業系列か公務員。

 そして政党への献金として還流される仕組みはまだ維持されている。

 しかし全く支持されていない政府の国家として国際的に信用度がダダ下がり。

 国家間の条約を締結しても国民が無視をする懸念が生じてきた。

 また政策を示しても多くの国民が相手にしない状況になりつつあった。

 例えば昔であったなら、マスク着用しましょうとかソーシャルディスタンスな生活をといっても我関せずという具合だ。

 むしろ公権力を笠に着て自分たちを抑圧する人間という意識が生まれてきているらしい。

 いずれは反政府活動に発展しかねないという考えに至った。

 そこで政府は考えた。

 投票率を爆上がりにする方策はないのだろうか。

 各省庁の事務次官を集めて良案を宿題にさせる指示をだした。

 最低でも2案は提出し、出来なければ予算削減をほのめかした。

 そして上がってきた案がこれだ。

 投票年齢を15歳まで引き下げる。

 寝たきり、認知症、入院患者などは選挙権を停止する。

 投票したら数万円のポイントを付与する。

 投票割引をする飲食店には給付金を支払う。

 などが出てきた。

 法改正の手間を除くと一番手っ取り早いのがポイントだろうと決定された。

 当然ながら委託企業に数百億円の予算をあて、献金を2割くらい還元させる。

 これまで何度となくやってきたポイント事業。

 滞りなく進むことは確実だし、貧している多くの国民は何の疑問も無く投票するだろう。

 与党としては多額の献金を背景にネットをはじめとする広告を出しまくっているから洗脳されているはずである。

 しかし、結果は想定外の結果になった。

 確かに投票率は80パーセントを超えた。

 ただし政党支持率は与党が半数以下に下がった。

 理由は簡単だ。

 野党が増えたことと、新しく結党した党が各業界の有名人を党首としたからだ。

 芸能界だけにかぎらず、スポーツ界、漫画家、小説家、ユーチューバーなど、知る人ぞ知るばかり。

 これまで政府に抑圧されていいようにコントロールされてきた仕返しとばかりな陣容になった。

 もちろん政治の素人の集団であるが、国民にとっては何を言ったのかより誰が言ったかのほうが重要なのだ。

 それならば知名度の劣る政治家が真っ当なことをいくら叫んだところで響くわけがない。

 政権は野党連合となって、首班指名は政治家が集まる政党の党首に任された。

 ポイント政策があだとなった話でした。 

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