国葬とはこんな感じ

今日は国葬がある。

 学校や公共施設は昨日から休みになっている。

 昨日は通夜、今日が本葬告別式となっている。

 数日前から各国の首脳が来ている。

 およそ100ヵ国以上になるらしい。

 だから首都一帯どこもかしこも戒厳令のような感じになっている。

 警察官がやたらと警戒しているしパトカーも多い。

 だからなのか、交通違反がやたらと捕まっている。

 普段ならスルーされるような些細な違反も。

 まあただ立っているだけでは仕事をしていると評価されないだろうし暇であるだろうから、せっせと違反取締(仕事)をしているのだろう。

 夜の店は自粛なのか弔意なのか、それとも物々しいからのか閑散としている街が多い。

 都内に遊びに来る隣県や他県の観光客も避けているようだし商売にはならないからだろう。


 国葬が始まった。

 参列する代表者は主に国家元首か外務大臣のようだが、手には香典袋を持っているようだ。

 ちゃんと我が国の葬式にのっとった袱紗(ふくさ)に包まれているようだ。

 中身はいくら入っているのだろうか。

 我が国では立場や関係性で額が変わるが果たして元首となるとどうなんだろうか。

 多少の見栄も含まれるだろうから数百万か数千万か。

 それとも石油王などは億になるのだろうか。

 そうなると包むことなどできないからどうするのだろうか。

 

 焼香が始まった。

 おそらく誰しもが我が国の葬式に参列するなど初めてのことだろう。

 前回の国葬は半世紀以上も昔のことらしい。

 どれどれ我々でさえ惑わす式次第。特に焼香や礼節などは難しかろうと思う。

 練習とかしてきているのだろうか。

 それとも前の人のを参考にして真似るのだろうか。

 そうなら一番最初の人は大変だ。

 

 式は結局つつがなく終了した。

 多少のトラブルというかドタバタはあったが。

 自分の席を忘れて迷子になるとか、そのまま帰りかけて止められるとか。

 席について長い時間に耐えられないのかスマホをいじるとか眠るとか、食事をする人もいた。

 しかもスパイスが効いているのか香りというか臭いが会場に漂ってしまい、ザワザワした空気になったようだ。異臭騒ぎということか。


 最後は全員で霊きゅう車を見送って終わった。

 だけどどこの国かわからないが花火を打ち上げてしまった。

 これは色々とシャレにならないとなり、後で外交ルートで苦情を入れたようだ。

 

 さて明日からは喪に服すことになるのだが。

 飲食店などには給付金が入るようで、期間中は売り上げが補填されるようだ。

 なんなら毎月国葬でもいいよなという声がどこからともなく挙がってきた。

 そうそう、今回は合同葬儀だったのだ。

 自殺志願者が次々と政府要人や官僚や関係企業上層部を狙ったりして多くの被害者が出た。

 明日から我が国はどうなるのだろうか。

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