相談

被害相談をした翌日の警察。

受付を通し、彼は警官に向かって私のことを話している。


「このままじゃ危ないんです。何かあってからじゃ遅いんですよ」

「実際に被害は何か出ているんですか?」

「……いえ、今のところは何も」


それはそうだ。

そんな被害が出ているならこんな悠長にはしていないだろう。

とっくに警察沙汰にしているに決まってるじゃないか。

私は聞くことに集中して、会話の行方がどうなるのか動向をうかがう。


「見られている気がする、というのはどうしてそう感じるんですか?」

「物陰とかから覗いている目が見えたりしてるんですよ」

「心当たりは?」

「俺の以前の交際相手かもしれないです」


以前の交際相手。

驚いてしまった。

というのも彼は私と付き合い初めの頃、初めての交際相手だと言っていたのだ。

元カノがいるなんて聞いてない。


「今の彼女が気に入らないというか、逆恨みされているかもしれないです」


驚く私に気づかず、彼は警察に話を続けた。

しかし、私は釈然としない思いを抱えていた。


だってそうでしょ?

彼の以前の交際相手って。

そんなものがストーカーしてるなら、私には関係ないじゃない。


そんな様子の私を他所に、警察官は話を続けた。


「わかりました、見回りを強化しておきます。それと、何かあったらこちらまで連絡してください」

「……わかりました」


釈然としない様子で彼は警察官に同意の意を返して、警察官との会話が終わった。


何かあって連絡したって遅いんじゃないだろうか。

警察の対応はあてに出来ないことを確認して私は呆れてしまった。


自分の日常は自分で守る。

決意を新たに、ネットでスタンガンを注文した。

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