相談

数日前、彼の家。

彼がパソコンを立ち上げていた。

彼の背中越しに映るモニターは、検索サイトが写っている。

そしてそこの検索キーワードには、


『ストーカー 警察 相談』


と文字が打ち込まれ、彼はエンターキーを押下する。


するとすぐさま検索結果には、警察の相談窓口案内が表示された。

ストーカー被害にあった時、具体的に被害に出る前でも相談できる窓口のようだ。


彼はよほど私が心配なのか、すぐさまスマートフォンを手に取り電話した。


「ストーカーされているんです」


彼は連絡するとスマートフォンの先にいる警察に話しかける。

どうなるかと私が見守っている中、彼はスマートフォンの先にいる警察に話続ける。


「物陰とかから覗いてくるんですよ! 何かあってからじゃ遅いじゃないですか!」


彼が声を上げる。

私のことをこれだけ思ってくれているのかと嬉しい反面、具体的な被害が出ていないと警察は思い切った行動には踏み込めないのか、と、どこか他人事のように呆れてしまった。


やはり自分のことは自分でなんとかしないといけない。

私の日常は私が守らないといけない。

固く決意し直す。


そんな私の様子に気づかず引き続き電話をしていた彼は電話を終えて呟いた。


「警察に直接いくしかないか」


相談窓口で動かないなら警察に行くしかない、彼の判断は正しいと思う。

正直あまり当てにできないのではないかな、とも思うが。


そして彼は会社のスマートフォンを操作して上司に電話しているようだ。

彼は上司に電話口に告げる。


「すみません、ちょっと私用で明日有給使わせてください」


流石に、私のことが心配だとは言えなかったらしい。

私としても彼の会社にまで話がいってしまうと、ちょっと恥ずかしい。

電話でやりとりをして、予定調整がうまくいったようだ。


彼の優しさに感謝してはいたが、色々あって私も疲れてしまった。

翌日に備えて、この日は寝ることにした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る