仮なしばり

そっとおさめてくださいな


はるおしむ、海尽き、さそいの

みしるしは、

ためしの空に波ぞたちける


あはれ、そめてし

恋しきは

うつつひとめに

おきまどわせる


闇はあやなし

花ちるらむ

絶えてつれなし

憂きもはなし


恋歌

あだなし、あだ波たて


底ひなき

のどけからまし

思ひきや

もとの身にして

ありやなしやと


やどる月

誰をかも、かぎりなき

夢と知りせば

宵なりの

夜の衣を

うつろひにけり


我が身、夢ぢぬ、うきくさ佳月



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