第14話

14話 

◉下見


 5日目はリスボワに行きギャンブルを楽しんだ。軍資金なら充分あるのでアリーナの遊ぶ分は僕が渡して3人でギャンブルを満喫した。

 その日の僕も運が良くて、やるギャンブルやるギャンブル3回に2回は当てた。桐谷くんは僕を見て、プロの底力を見たとか言ってた。たしかに、間違いではないが、ほんとについてただけだけどね。

 僕は2万香港ドル程勝った。つまり、20万円の事だ。無茶苦茶な賭け方をしていたので当たりも大きかった。普段はそんな無茶をしない人間なのだが、今日はある目的があってどうしても無茶が必要だった。

 夕方まで遊んで僕らはご飯を食べに行った。桐谷くんは相変わらず取り返すまでやるって言って残ってる。でも、前回はそう言って半分くらい取り戻したらしいからちょっとすごいよね。それでも1万5千香港ドル負けてるけど。

 

 まだデパートはやっている。僕はアリーナと買い物に行きたかった。アリーナの好きなものを買ってあげたい。でも、お金はあげたくなかった。軍資金を渡すのはいいけど現金をただあげるのは嫌だ。だってそれじゃ、ただの娼婦じゃないか。僕達はあくまでも恋愛をしているはずだ。それを台無しにはしたくない。

 分かってる。現金もらった方が便利だし喜ぶよね。しかも、あげなくてもアリーナは全然気にしないだろう。でも、それは違うんだ。

 アリーナに何か高価なものを買ってあげたい。

 そのために無茶なギャンブルをしていたのだ。


 本当、勝てて良かった。



「デパートに何かあるの?」とアリーナが聞く。

「わからないけど、見たくて。とりあえず今日は下見のつもり、明日じっくり見に行こう」


「え、明日のデートはデパートなの?!うれしー!なんか欲しいのあったらねだってもイイの?」


「いいよ。そのためのデパートだ」


「好きィ!」


 やっぱり、モノあげるのは喜ぶと、今確かに確信できた。明日はパーーッと使っちまおう。と僕は思ったのだった。

 

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