第2話

2話

◉リスボワ


 小籠包の他にはなんだか葉っぱだろうなと思うメニューがあって。野菜は好きなので注文したらセイロに草が入ってるだけのやつが出てきた。洗ってあるし蒸してあるけど根っこまでそのまま付いてる八宝菜みたいなので(すげえなこれ、この状態が商品だっていうのか。根も食うのかな?)と思いつつ魚醤をかけて全部食べた。まあ、おいしいよ。野菜だし。ただまあ、シンプルだなーって思った。

 食べ終えて桐谷くんと談笑してたら僕の前に立っている人がちょっとだけどチラチラ見てる気がした。すごく綺麗な金髪の白人2人組だった。背の低い方の子の視線を感じた。ロシア人だろうか。 

 その時は僕は特に気にはならなかった。ただ(綺麗だな)それだけ。


 道を歩いていると時たま綺麗な人が佇んでいる。待ち合わせだろうか、それにしては多い。僕は無知で、それが何を意味するかわからないでいたんだ。


「ねえ、ただ立ってるだけの人多くない?」と桐谷くんに言ってみた。すると。


「彼女達は娼婦だよ。現地の人なら大体200〜300香港ドルで抱ける。安い人は100」


「100?!それ千円でしょ?」

「そうだなあ。でもそういう世界もあるんだよ。もちろんオレは今夜の女を探しに行く」


 たまげた。同じ時代に生きていて身体を千円で売る世界があるとは。


「あ、あとロシア人は高いから気をつけろよ。あの辺は大体800ドルからが相場だから」

 

(さっきの人も、もしかして娼婦だったのかな。言われてみれば肌の露出が多かった気がした。でも、なんで見てたのかな)


「とりあえずカジノの場所教えるから行こうか」


「うん、わかった」


 僕らはリスボワというカジノに行った。

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