音痴は周りを不快にする。

 中酷強酸党中央委員会が緊急経済会議を開催。この9月時期での開催は異例だ。通常は4月、7月、12月だ。この開催は中酷の経済状況が急速に悪化していることを示している。面子を重んじる秀欣平主席が中酷経済の払拭できない問題を認めたことになる。この動きには指導部の強力な訴えがあった。地方債務が嵩み、中央政府の政策も全く効果を得られていない現状がある。海外投資の中酷からの脱却に歯止めが効かないばかりか加速している。それに伴い失業率が高まり、個人消費が冷え込んでいる。バブルの清算は、不動産開発の清算。本来なら死霊と化した不動産業者を成仏させるのが粗治療でも効果はあるが、不動産=人民の資産である以上、鉄拳を奮えば、人民を葬ることになる。そうなれば、強酸党は人民の資産を強奪する悪者になり下がり崩壊してしまう。

 秀欣平は不動産は投機の対象ではないと釘を刺してきたが、その不動産投資にすべてを委ねてきた地方政府には収入源を絶たれることになある。国有企業優遇政策は、民間企業の投資意欲を低下させている。若者の失業率の増加は、子が親を養う儒教の考えが若者を苦境に立たせ、高齢者を窮地に追い込んでいる。

 中酷人民銀行は預金準備率を0.5%引き下げ、市場に約1兆元を供給すると発表した。ただ、これは短期的効果は得られても借金を借金で返す悪循環を助長するだけで長期的に見ればより深みに嵌る判断だ。

 海外からの経済制裁が厳しさを増す中、国内生産が冷え込む一方では、回復の兆しが全く見えない。海外投資家の中酷への信頼感は地に落ち、小手先の対応では太刀打ちできない。国内では地方政府の経済的停滞や官僚の腐敗の不満が反抗行動となり、

殺人までに至り、犯人は自害する共倒れ事件が多発している。市民の怒りは今は地方の官僚に向けられるいるが政府へと向かうのはそう遠くない。嘗ての富裕層ですら多額の返済に苦しめられている。

 秀欣平は世界的地位を得るため途上国への融資には積極的だが、国内の市民サービスやインフラ整備を軽んじている。そのせいで水害が頻繁に起き、農作物の収穫を断念させ、家屋を失う人民を多く生み出している。人民の貧困、官僚の至福が事件の根幹にある。中酷メディアはこうした犯行を報じずやり過ごしている。

 痛みを伴う構造改革など秀欣平にはない。いや、できない。起死回生の起爆剤としたEV車も走る時限爆弾・秘密漏洩装置と称され、製造・販売会社の倒産が後を絶たない。さらに頼みの欧米諸国から重い関税を掛けられ、二進も三進もの状態だ。追い打ちは半導体規制だ。原料提供での圧力は、通じない。打つ手なし。破滅を目の当たりにして窮鼠猫を嚙むですべての責任を欧米諸国に背負わせ、戦争によって逃れようと考えなければいいのだが。経済音痴の秀欣平では、問題可決に暴力を使うことは想像に値する。

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Crazy Red 龍玄 @amuro117ryugen

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