[ 244 ] 戦いは再び
話し合いの結果。
ロゼとリュカさんと調査班は海路から王都へ向かう。ゼクト達と対峙するのは、残りのアルノマール、ハリルベル、シルフィ、ピヨ、レーヴェ、テトラ、ルヴィド、ミルトに僕の9人だ。
店長は食わなきゃやってられねぇよ!とキッチンで料理を作っている。
カノーネも行くと言い張ったが、アルノマールから「お前が司令官を務めると言ったんだ。司令官が戦場に出てどうする」と言いくるめられ、ヘクセライでお留守番となった。
「ルヴィドとミルトはリシトを、レーヴェとテトラはザイードを、私とロイエとピヨでゼクトを叩く」
「市長、ピヨなしで機動力の確保は大丈夫ですか?」
市長は風魔法使いとペアを組んで戦うことが多い。それは火魔法は射程が短いからだ。一気に近づいて最大火力で攻撃するのが市長のいつもの戦い方だ。
「それなら心配いらん。もう1人の丁度良い風魔法使いを調達している。おい、入ってきていいぞ」
ガチャと扉が開くと入ってきたのは、銀色の髪にウサ耳をつけた見たことのある顔だった。
「フィーア……」
「私はフィーアとペアを組み攻撃する。おい、フィーア、ロイエに何か言いたいことがあるだろう」
言われて少し痩せたフィーアが一歩前に出た。その顔は初めて会った時となんらかわっていない。
「ロイエ君ごめんね。まさか私の所属してる騎士団が、王と裏で回復術師にあんな酷いことしてるなんて……」
「いえ、僕のほうこそ……「そこまで!」
「私は辛気臭い話は嫌いだ」
喋ろって行っておいて酷い……。アルノマールに強制的に話を打ち切られると、カノーネが各自へ指示を出した。
「調査班はすぐに船に乗り込め、冒険社はさっさとゼクト達を足止めしろ
「金ははずんでもらうぜ?」
「ええー、私はアクアリウムに帰りたいだけなのに……」
「健闘を祈る!」
最後はアルノマールの号令で勝手に締めくくると、それぞれが動き出した。僕はピヨを肩に乗せて、会議室を出ると冒険者全員で王都への街道を進む。
「市長、なにか対策はあるんですか?」
「ああ、リシトとザイードさえ抑えればなんとなる。あの2人をまずは倒す」
簡単にいうけど、どちらもクローネ魔法を使うから物理攻撃や相性の悪い属性攻撃は効かない。
「ということは私とミルトがリシトですね」
雷魔法が使えるのはこの2人だけだ。
他は援護にもならないだろう。ここはルヴィドさんとミルトに任せよう。
「ああ、頼む。ザイードはテトラ。お前しか倒せん。報酬は弾むし、アクアリアムへの帰路も用意しよう」
それきっと、(王都を落とした後にな)って付いてるよね。と思いながらも言及はできなかった。
「水魔法使いは本当に苦手だから、絶対来させないでよー?」
「それはレーヴェがなんとかするだろう」
「おう」
問題は魔法範囲の広いゼクトだ。僕より強い重力魔法使い……。魔法を使われると全員への負担が半端ない。
「市長、ゼクトはどうしますか?」
「接近戦しかないだろうな。そのためにピヨを鍛えておいたから上手く使え」
「えっへんピヨ」
あれだけの広範囲なら遠距離系の重力魔法使いなのは確かだ。遠距離系は効果範囲が広い反面、自身の周りに魔法を展開するのが苦手なはずだ。ゼクトは風と重力。僕もピヨと連携すれば逃さずに戦える……か。
「ピヨがついてるピヨ」
「ありがとう」
「ほら、お出ましみたいだぞ」
視線を上げると、街道の先にはリシトとザイード、ゼクトが待ち伏せていた。
「調査班はどうした。てっきり仲良く団体でやってくるかと思ったんだがな」
「はっ、ガキが生意気言ってんじゃないよ。私らだけで十分だ」
「お手並み拝見と行こうか……」
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