[ 111 ] 騎士団とは
「騎士団というのはこの国、リッターガルドの王国に所属していまして、全部で三つの部隊からなります」
ファレンさんの話によると、騎士団は調査班、監査班、護衛班があり、調査班は主に街から街へ移動を繰り返し、街に異常がないか調べたりと、一番人数が多いが雑用的な仕事が多いため騎士団の中では、一番下に見られる部隊だそうだ。
そして監査班、これは調査班がちゃんと仕事してるのか監査する役人的な立ち位置だそうで、貴族の子が属したりと、とにかく高い身分の人がなることが多いらしい。
最後に護衛班。これは王都で王の護衛をしている部隊で、基本的に動くことはない。人数も少ないが精鋭揃いとの事。調査班如きではその姿を見ることも出来ないそうだ。
「僕がナッシュの森で会ったのは、恐らく調査班だな……」
「どんな人ですか?」
「黒い長髪の人ですよ」
「あー、ならアウス隊長ですね」
「アウス隊長?」
「はい、調査団の団長で漆黒のアウスと呼ばれ、護衛班の選抜試験でギリギリ落ちてしまったほどの実力者です」
ジオグランツをかけてもあまり効いていなかったけど、ルーエやゾルダート以上に強いということか……。手を出さないでいてよかった……。
「となると、監査班というのが怪しいですね……。何人くらいいてどんな部隊なんですか?」
「それは秘匿されてまして、僕ら調査班程度では何も情報が降りてこないですね……」
「今の話でわかったことがあります。ゾルダートが監査班にいるのは確定なのですから、調査班にフィクスブルートの位置を調べさせて、監査班が同行し星の魔力を吸い取る……。現れたモンスターを監査班が倒せば村や街からは感謝され、反逆者は育たないし納税が増える。
星の魔力回収と、民からの支持、納税による献金。全てを効率よく取るのが彼らの目的か……。
「いくら永遠の命を手に入れても、支配する民がいなければ面白くもないし食うものを作るのは自分でやらなきゃいけなくなるからな。誰もいない星で永遠に生きても意味はねぇ」
「あの、永遠の命ってなんのことですか?」
そうだった。ファレンさんには何も話してないんだった。どこまで話すか迷うところだが、騎士団に仲間がいるのは心強い……。
「ロイエさん、私が彼に説明しましょう」
「お願いします」
ルヴィドさんは僕が回復術師である話はせず、騎士団が各地でやってる悪事や実験などについて、自分の体験談も交えて丁寧に丁寧に説明した。
「騎士団め……! 許さん……! あ、私も騎士団だった……! 今この時を持って騎士団をやめます! ルヴィドさん! 一緒に騎士団を滅ぼしましょう!」
さすが封印教団……。ファレンさんが完全に洗脳されてる。こうやってガンツさんも洗脳したのかな。
「いえ、騎士団の中に私たちの仲間がいると、何かと便利です。あなたはここへ調査に来て、我々に捕まったことにしましょう。村の復興が終わったら目立つところで毎日縛れられるのが、貴方を守る意味でも最善です」
「なるほどぉおお! わかりました! 毎日縛られます!」
毎日自ら縛られてくれるなら逃亡の危険性もなくなるから、レーラもこれにはよくやったと、ルヴィドさんを誉めていた。
こうして初日の夜は終わりを迎え、翌日からはまた村の復興作業が始まった。
その後、半月ほどで村の復興はだいぶ進み、僕らはレーラさんから本格的に修行を受けれることとなった。
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