三十一話 楽々と沙羅とプールランド
「律、どう? 似合ってるかな?」
「律くん……私はどうでしょうか?」
相崎姉妹宅、リビングで、水着姿の楽々と沙羅が前に立っていた。
楽々は、今にもはだけそうな豊満な胸に、鮮やかな赤色の水着を身に纏っている。
くるりと一回転、おしりがその……見え過ぎて困ってしまう。
沙羅はフリルのついた水着だが、色が黒なので、大人っぽい感じ。
紐状なので、かなりエロティック、正直楽々よりも目のやりどころに困る。
二人とも、きゅっと引き締まった良い身体だ。
「い、いいんじゃないかな……。でも、学校はスクール水着だと思うんだけど……」
勘違いしているであろう二人に事実を突きつけると、驚いて声をあげた。
「え、そうなの!? あ、でもよく考えたらそうか……」
「そうだったんですか……。し、仕方ありませんね。というか、今ここで着替える必要ってなかったと思うんですが……」
「そりゃあ律に見てもらいたかったからねえ。沙羅だって、ノリノリだった癖に」
「違いますよ! その、さっきまではテンションが高くて……つい……とにかく、すぐ着替えましょう!」
もうすぐ学校でプール開きがある。それで二人が新しい水着を購入したらしく、秘密のお披露目会に誘われた。
田舎で暮らしている時は、周りに山しかなかったらしく、泳ぐことがなかったという。
それで今、学校指定のスクール水着じゃないといけないということを、俺の口から知ったのだ。
「あ、これかな? あったあった」
楽々が、タンスの奥から袋に入ったままのスクール水着を見つける。
おそらく入学式で購入してそのままだったのだろう。
ただまだ水着姿なので、俺は楽々のお尻を見てしまい、視線を背けた。
「どうする、これも着替えちゃう?」
「え、ええ!? 恥ずかしくない……?」
「ほら、サイズとか合わなかったら困るし」
購入時にサイズは測っていると思うけれど、成長すると合わなくなる。多分、二人とも成長期だろう……。
沙羅も了承し、二回目のお披露目会となった。
流石に恥ずかしくてまともに見れなかったので、省略するが、とにかくもう、言葉を選ばずにいうならば……かなりエロかった。
「せっかく購入したのにもったいないですよね……」
「確かにそうだね」
めずらしく落ち込む沙羅と楽々、それを見ていると俺も悲しくなった。
その時、妙案とまではいわないが、一つの考えが思い浮かぶ。
「そういえば……近くに大きなプールランドがあるんだ。温水だからオープンしてるし、明日とか――」
「え、そうなんですか!? 行きたいです!」
「行きたい! その案最高だーっ!」
沙羅の表情が、ぱあっと明るくなる、楽々も嬉しそうに声をあげた。
そうして俺たちは、三人でプールを行くこととなった。
◇
「お待たせー、律」
「お待たせしました。こういう所初めてなので、すっごくワクワクしますね」
夏の日差しが、美少女双子姉妹の肌を照らしていた。初夏にも関わらず気温が高く、絶賛プール日和だ。
着替えを済ませた楽々と沙羅が、小走りで向かってくる。二人とも、昨日の赤と黒の水着を着ている。
誰も興味ないだろうが、俺はグレーの水着。
ここは『青空サマーランド』
プールや天候を気にせず遊べるドーム内プールなど、多彩なウォーターアトラクションが存在する。
俺たちの手にはリング型の鍵がついており、ランド内で飲み食いするときは、これをかざすことで支払いができる。
もちろん、後払いだが。
「ふふふ、今日は食べて飲んで、食べて飲むぞー!」
「はい! いっぱい楽しみましょう!」
「泳ぐのが目的なんだけど……」
満面の笑みを浮かべる二人。しかし俺は、かなり不安があった。
それは、周囲の人たちの視線が関係している。
「うわ、あの二人マジ可愛くね!? 天使じゃん、肌しろー」
「双子……? 綺麗すぎるだろ」
「私、女の子だけど、女の子が好きになった……」
なぜなら二人は男子だけでもなく、女子の視線すらも釘付けにしていた。
プールでは、ナンパも多いと聞く。
さながら俺は役目は
楽しむことも大事だが、二人から目を離さないでおこう。
「律、ぼーっとしてないで、いくよ! まずはウォータースライダー!」
「はい! 行きましょー!」
両腕を掴まれ美女サンドイッチ、大勢の人たちの視線を横切りながら連れて行かれてしまう。
舌打ちが聞こえたような……。
本当に、だ、大丈夫かなー!?
◇
「たたたたたた、高い……」
「はい、もの凄く高いです。大丈夫ですか? 楽々」
「う、うん……」
意気揚々とウォータースライダーに来たが、階段を上がっている途中で楽々が震えはじめる。
高所恐怖症とまではいかないらしいが、想像以上に怖くなってきたらしい。
途中棄権もできるが、それはしたくないという。
「沙羅、ちょっと前いいかな?」
「はい? 大丈夫ですが」
前に並んでいた沙羅と楽々の横に入って、楽々に声をかける。
「楽々、昔滑り台の上から、ジャンプした時のこと覚えてる?」
「ええと……あ、凄い高いところだったよね。でも、前に見たとき凄く小さかった」
幼いころ、度胸試しで公園の滑り台のてっぺんから楽々と二人で飛んだことがある。
今思えば危険行為かもしれないが、当時は何も考えずにやっていた。
その公園に最近行ったとき、思っていたよりも何倍も低かったのだ。
沙羅は怖くて飛べなかったが、下から見ていた。
「あの時の楽々は目を輝かせてたよね。私は飛べなかったけど……」
「ふふふ、そうかも。あの時は勇気があったなあ」
そんな思い出話に花を咲かせていると、てっぺんに辿り着く。
楽々が、「ありがとう律、気を反らしてくれて」と言ってくれた。どうやらバレてしまっている。
しかし沙羅も後ろから言う。
「ほんと、律くんは優しいですねえ」
◇
ウォータースライダーは浮き輪で、三人乗りだった。係員の指示に従い、楽々、俺、沙羅の順番でまたがる。
流れゆく水を見ていると、ワクワクとドキドキが交じり合う。
「すいません、もう少し詰めてくださいー!」
「あ、はい!」
その瞬間、沙羅の胸が――背中にぽよんっと当たる。
「ひゃあ!? り、律くんすいません!?」
「あ、いや、だ、大丈夫!」
「んー、どうしたの?」
後ろを振り返ると楽々、背中がものすごく綺麗で、きめ細かい肌をしている。
沙羅もだが、どうやったらこんな白くなれるんだ?
美人は紫外線とか弾き返してるのかな?
「それでは、しっかり捕まっててくださいー!」
両手のところにあるフックをしっかりと掴み、浮き輪がもの凄い速度で進みだす。
高さはビル三階相当、しかし高さよりも目まぐるしく動く景色に驚いた。
更に衝撃も凄く、水が身体中に降り注ぎ、そして――。
「きゃああ!」
もう一度、背中にむにゅりっと、沙羅の胸が当たる。
「わ、わわわわ!」
次に浮き輪が後ろ向きに反転、楽々のお尻が、足にぽよんぽよんと当たる。
どちらもマシュマロのような柔らかさで、甲乙を付ける事が出来ない。
ウォータースライダーより気になって集中が~~~~~~!?
最後、大きなプールに飛び込み、俺たちは水浸しになって放りだされた。
三人で水面から顔だし、思い切り笑い合う。
「ふふふ、面白すぎたー!」
「凄い速度でしたね。でも、その……律くんすいません。胸が何度も……」
「え!? あ、だ、大丈夫……」
「私もお尻が何度も律の足に当たってたよね? ごめんね? あれ、顔赤くない?」
「え、ええ!? そ、そうかな!? 普通だよ!?」
サマーランドはまだ序盤、色んな意味で身体が持つだろうか……。
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