第15話
鬼それは古事記や日本書紀などにおいては、得体のしれないモノ……幽霊や妖怪、精霊、神と言った目には見えないモノ共を指す言葉だった。そして中国においては幽霊と同じ意味で鬼と言う言葉が使われてきた。
そして日本では仏教の影響もあって、神に等しい力を持ったモノとして考えられている。
それは千年たった現代でも変わっていない。
「鬼って等級幾つだっけ?」
そう言ったのは鳥羽リナだった。
「旧式の区分では二級相当――――呪術庁の新規定ではAランクと言われている妖怪。まぁ数年前に改定されたばっかりの呪術庁の規定を忘れるのは仕方ないケド……」
答えたのは、倉橋アンだった。
現代でも鬼は強力な妖怪とされている。
「それをこの四人で狩るんですか?」
俺は素直な疑問を口にした。
「えぇ今回は数も多いですから皆さんで全滅させてください」
そう。固有の異能を持たない鬼であれば相手にならないほど、強力な力を持っている俺達四人を集めたのだ。きっと何かあるのだろう。
「それだけなら打ち漏らしを考えたとしても、半分の二人で良いハズですが……」
「やはり何かあるという事ですか?」
「はぁ……どうせ直ぐにバレるんだし素直に言えばいいのに……」
アンはそう言うと概要を語り始めた。
「今から向かう場所は岐阜県のとある町で歴史好きの間では、そこそこの知名度を誇る古戦場なの。そして現在は山間という事もあって滅多に人が通らないんだけど、道路やトンネルが通ていてその近所にある廃病院を含めて心霊スポットとして有名なのよ……ホラ」
助手席から身を乗り出して、後ろの座席に座る俺達に見えるようにスマホを突き出した。スマホにはGoogleでの検索結果が示されており、確かにそこそこの知名度を持った心霊スポットのようだ。
「で、これはまだ公表されていない話なんだけど、有名な連続猟奇殺人犯の
「そう言う事か……」
「そう言う事ね……」
「そう言う事だね……」
三人が口をそろえた。
そしてリナが続けてこういった。
「戦場で死んだ兵士たちや武将の怨念が、鬼へと転じたのかは分からないですが……高い確率でそのハンマとか言う男の肉体を使って、受肉している可能性が高いって事になる……」
ユリは最悪の事態だと言った表情でタブレットを視ている。
「受肉ってつまり、戦場に巣くう悪霊に肉体の主導権を奪われているって事になってしまう……それってつまり……」
リナが次の言葉を言う前に俺は答えを言った。
「その通り、よくて魂に鬼が混ざった生成りになってしまう……そうすると非術者でも呪力を扱うために、必要不可欠な目も手に入れてしまう。そすると……」
「そう。タダでさえ厄介な連続殺人犯は足のつきにくい凶器を手に入れましたとさ。という事になってしまうワケで呪術庁に仕事が回って来たの……」
アンが答え。めんどくさそうにタブレットを弄りより細かい情報をだした。
幼少期に若い両親からの
「典型的な犯罪の三兆候じゃない」
俺が資料を読んでいると、覗き見ていたリナが言葉を漏らす。
「なにそれ?」
訝しむような声音で、ユリが質問した。
「放火、夜尿症、弱者虐待この三つのことで、マ〇ドナルドの3兆候とも言うらしいですよ?」
「何ですかその要らないハッピーセットは……」
呆れたような声でユリがツッコミを入れる……
「あーもう! 違うでしょ今回重要なのはココ!」
そう言ってアンはタブレットを奪い取り、見せたい場所にスクロールすると指さした。
――――FBI式プロファイリングによると彼は秩序型に当てはまり、好みの女性……この場合はコンプレックスと言うべきかしら。の女性である10代後半から20代前半の茶髪の女性を好んで襲い。犯してから殺し男性も数名殺害されている。
「つまり。若く力のある術師が彼を釣り出す必要があるのよ」
「なるほど」
「だから私達がちょうどいいって訳か……」
「そう言う事か……」
「でも髪はどうするんだ?」
純粋な疑問がふと口をついた。
「甲種と乙種だよ」
現在の呪術は、本物である甲種と紛い物である乙種に分類されている。
この場合髪色を黒や茶髪、プラチナブロンドから髪色を変えれば犯人のターゲットに入ると言いたのだろう。
「なるほど! 幻術で髪色を変えればいいって事か」
「そうその通り……って言いたいところだけど今回は憑依されている可能性が高く、見破られてしまうかもしれないので唯一黒髪女子のリナは、ヘアワックスで髪色を変えてもらいます」
アンのその言葉でリナは即座に身構える。
金髪のアンとプラチナブロンドのユリは染める必要がない。しかしリナ彼女だけは純粋な鴉の羽のような美しい黒髪であり、もはや逃れることは出来ない。
「えぇー! 幾ら仕事とは言え嫌ですよ女の命にしてイスラムでは、エロいから隠している髪を染めるんなんて!」
「問答無用!」
「ほら大人しくしない」」
アンとユリがリナに詰め寄る……
「ほら、春明も手伝って。三人に勝てるわけないだろう!?」
「――――」
飛行術を発動しようとした瞬間に、アンとユリが不動金縛りを無詠唱でかけて印を結び拘束を強化する。
「抵抗しても無駄ですよ」
そう言ったユリの瞳は笑っていなかった。
「はーなーせコラ! はーなーせ!」
そう言っている間に少女は両手にべっとりと着いたワックス練るように動かし、柔らかくなったワックスを真っ黒な長髪にベットリと塗りたくられ、もみ込み乾燥していくと見る見ると髪色が変化していき見事な茶髪になった。
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『あとがき』
読んでいただきありがとうございます。
本日から中編七作を連載開始しております。
その中から一番評価された作品を連載しようと思っているのでよろしくお願いします。
【中編リンク】https://kakuyomu.jp/users/a2kimasa/collections/16818093076070917291
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