怖い話【短編集】

第19話 山で

ゴールデンウィークに田舎のおばあちゃんの家に遊びに行った。

おばあちゃんは凄く喜んでくれて、たくさんご馳走を作ってくれた。

でもおばあちゃんの家の周りには何にもない。

あるのは、車で１０分くらい行ったところにあるスーパーだけだ。

スーパーに行っても面白くないから、お父さんと一緒に森に遊びに行った。

森でザリガニとかカブトムシを取ったり、山菜を採ったりして結構楽しかった。

これで宿題の日記に書くことができた。

あと、もう一つ、山で凄い物を見た。

猿だと思う。

お父さんもこんなところに猿がいるなんて珍しいなって言って2人で見てたんだ。

でも変なんだ。

その猿は目が真っ赤だったんだよね。

猿が赤いのはお尻じゃなかったっけ？

帰って、晩御飯の時におばあちゃんにその話をしたんだ。

そしたらさ、おばあちゃんはいきりな立ち上がって、電話を掛け始めた。

そして、猿を見たことは誰にも言うなって言われた。

どうしてって聞いても、おばあちゃんは教えてくれなかった。

おばあちゃんはお父さんには理由を話していたみたいだから、後でお父さんに聞いてみても教えてくれなかった。

その日は、おばあちゃんやお父さんと、みんなで寝た。

それで寝る前になんか薬を飲まされた。

いつもは夜に起きたりとかするんだけど、その日は一回も起きなかった。

次の日の朝。

男の子が遊びに来た。

近くに住んでいる子らしい。

年が同じくらいだったから、すぐに仲良くなった。

その男の子は「お前と遊んだら、ばあちゃんが新しいゲーム買ってくれるんだよ」と嬉しそうに言っていた。

そのときは、なんでだろうと不思議だったけど、特に気にしなかった。

一緒に遊んでいたら、おばあちゃんとお父さんがスーバーに行くぞと言って、みんなでスーパーに行くことになった。

そのとき、ある遊びをすることになった。

それはその男の子と服を取り換えるってものだ。

男の子もなんでそんなことするのかとおばあちゃんに聞いていたけど、おばあちゃんは「もう一個ゲームを買ってあげるから」と言ったから、男の子は喜んで服を交換した。

スーパーに行くと、お父さんとおばあちゃんは子供が遊ぶスペースで、2人で待っててくれと言った。

１５分くらいで戻るって言われたから、２人で待ってることにした。

それで待ってたんだけど、３０分くらいしても、お父さんもおばあちゃんも戻ってこない。

どうしたんだろうって思っていたら、女の人が話しかけてきた。

「お父さんとおばあちゃんのところに連れて行ってあげる」って言ってきた。

最初は男の子も怪しんでたんだけど、ソフトクリームを食べさせてあげると言い出した。

すると男の子は「行く」と言って、女の人と手を繋いで行っちゃったんだ。

お父さんとおばあちゃんは、男の子いないところで「誰かに話しかけられても、絶対について行っちゃダメ」と言われたから、行かなかった。

それから１０分くらいしたらお父さんとおばあちゃんが戻ってきた。

男の子のことを聞かれたから、女の人と一緒に行っちゃったと言ったら、「よかった」と言ったんだ。

あの人が、男の子のおかあさんだったのかな？

その後はなんか、大騒ぎになった。

色んな大人の人や警察とかも来て、色んなことを聞かれた。

そして、おばあちゃんの家から帰る日。

お父さんに男の子のことを聞いた。

そしたら、男の子は行方不明になったらしい。

それで不思議なのが、防犯カメラに男の子が一人でフラフラとスーパーと出て行ったのが映ってたって、警察が言っていたんだってさ。

だから、誘拐とか、そういうのじゃなくて、もしかしたら家出だったのかもしれないって話になったみたい。

それから、しばらくはおばあちゃんの家に行かないって、お父さんが言ってた。

あと、山で見た猿のことや、男の子が遊びに来たことは、絶対に他の人に言うなって何回も言われたんだよね。

あれって、いったい、なんだったんだろう？

終わり。