3話

数十分後。おれ達は近所の大型ショッピングセンターにいた。勿論、ケーキの材料とプレゼントを買うために。

「クリスマスだな」

「そやね。働いてる人も大変やな。ゆっくり過ごしたいやろに」

 ショッピングセンターの煌びやかな飾り付けと、サンタ服で働く店員を見ながら言う。

「おれさ、クリスマス商戦はとっくに終わってると思うんだよな。だってクリスマス当日に、パーティの準備する奴とか、あまりいないじゃん。だいたい何日か前にはプレゼントとかも買って訳だしな。今日、慌ててプレゼント買ってるのなんて、あわてんぼうのサンタクロースくらいだと思うんだよ」

「ま、そのサンタさんは、わいらやねんけどな」

「白鳥へのプレゼントは、クリスマスプレゼントも兼ねてるってことか。……あっ、だったら白鳥からもクリスマスプレゼントあるんじゃね?」

「あるやろな。美和子、その辺は律儀やから」

「期待しちゃっていいかな。ていうか、去年も貰った覚えがあるぞ。何、貰ったっけ」

「貰ったプレゼントを忘れちゃあかんよ、秀。美和子がめっちゃ悩んで選んだやつかもしれへんのに」

「えー、下僕のおれのプレゼントになんか悩まないだろ」

「あ、君達はもう決まった?」

 烏丸が綺麗にラッピングされたものを持って、おれと薫に話しかける。

「って、お前、もう買ったの⁉」

「うん」

「早っ!」

 おれ達が会話している間に……。即断即決過ぎるだろ。

「何を買ったん?」

「扇子だよ。白鳥さんに似合いそうな優雅なやつ」

「結局それかよっ! ただのボケかと思ってたよ。もっと考えて選べよ」

 クリスマスなのに和柄の包装紙が、何ともミスマッチだ。

「君達は何を買うんだい?」

「わいは色々見てから決めようと思ってるで」

「おれは文房具セットにしようと思うんだけど」

「文房具セットって……。君は小学生かい」

「実用的だろうが。バカにすんな」

 でも、さすがに文房具セットじゃ味気ないかなと思ったので、やめにした。




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