033 エレベーター

 私はその日とても疲れていた

 誰しもそういう日はあるだろう

 だからというわけではないが私は家のマンションのエレベーターに乗ってボタンを押さなかったのだ

 しかしそれに気が付かずに私はただなんとなくぼーっと開いたままになっているエレベーターのドアを眺めていた

 そのドアが閉まってからやっと私はボタンを押さなかった事に気が付いたのだ

 だがエレベーターは動き出したのでやはり私はボタンを押さないまま壁に寄りかかったままであった

 そしてエレベーターは私の住んでいる家の階に止まる

 私はボタンを押していないというのに何故そこに止まったのか私にはわからなかった

 きっと誰かがボタンを押したのだろうと思ったのだが開く扉の前には誰もいなかったのだ

 だが疲れている私はそんなこと気にもせずにふらつく足取りでエレベーターから出たのだった

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