003 出入口

 私が通る道の間に地下鉄の出入り口がある

 私が入っていくわけではないが地下鉄の出入り口の前を通らなければいけないのだ

 当然ではあるが電車が出て来ればそこから人が出てくる

 その電車の来る音が近くまで行くと聞こえるのである

 私はそれを聞いた時に出て来た人々とぶつかったりしないように気を遣って出来るだけ道の端へと寄るのである

 その日私はそこを通る時にその電車の来る音を聞いてしまったのだ

 だからいつも通り出入口がある方の道を開けようとしたのだ

 しかし気が付くと私の隣には人がいたのだ

 一体この人はいつからいたのだろうか

 そして何故私の隣を歩いているのだろうか

 全くわからない

 とにかくこのままでは電車を降りて地下鉄の出入り口から出てくる人々とぶつかってしまうかもしれないのだ

 それは困るので歩くのを遅くするか早くするかして私は地下鉄の出入り口を避けようと考えた

 しかし隣の人は絶妙な速さで歩いており私が迷っている間も地下鉄の出入り口は近づいてくるし人々が階段を上る足音も聞こえて来る

 そして地下鉄の出入り口の前を私が通り過ぎると人々はそこから溢れ出たのであった

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