002 この先真っ直ぐ

 それは私が歩いているときであった

 なんだか陽射しがまぶしくて何気なく上を見ると看板が目に入ったのだ

 この先真っ直ぐ歩いて三分で〇〇〇というありきたりな看板だ

 だが私にはその看板がとても気になった

 何故ならこの先に〇〇〇などないからである

 この街に移り住んで一年が経った私が言うのだから間違いない

 絶対に〇〇〇はないのだ

 歩いて三分ともなればこの場所からでもあるかを確認できそうなものであるのだが街並みのせいか見ることはできなかった

 そしてたったの三分歩くだけで〇〇〇に着くと言うのであれば多少寄り道をするだけで〇〇〇がないことを確認できるという事である

 そんな事を考えながら私はその看板の手前を曲がった

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