転生後、毎日が私を強くする
リオ-クレン-クレアハート
1幕 1章 時代の始まり
第1話 誕生‐世界の始まり
「さようなら~」
そう言って学校から帰る。
「またね、紅」
私は夜桜 紅(よざくら べに)。どこにでもいる高校生。もちろん成績も普通で運動神経もそこそこ。自分でも、自分に特別な何かがあるかと聞かれると、あんまり思いつかない。強いて言うなら、想像力が高い(自称)。というのも、妄想や想像をするのが好きで、アニメや小説が好きである。どちらかというと
『異世界転生とかないかな...』
なんて考えていた。
帰っても何一つ変わらない風景。家にはいつも通り父がご飯を作ってくれていて、今日もおいしいご飯が並んでいる。我が家では、母はあまり料理が好みではなく父の方が圧倒的に料理が上手い。別に母が下手なのではなく、父が上手いのである。
やっぱり別に上手いというわけでもないが、やはり上手いにも種類があるかと思う。私の父の料理の上手いは美味しいではなく...(これはナイショ。別にまずくない)...味のアレンジが得意なのである。程よく味や雰囲気が変わるため飽きない。これはきっと素晴らしい事ではないだろうか。味がこまめに変わるので飽きることがない。(こまめに変わりすぎて嫌になるときもある...)
私はいま高校生。このまま進学や就職で家を出ると...一人の苦しい生活が待っている。毎日生活費カツカツのでギリギリ生活の中、こんなに毎日の料理を贅沢で変化のある工夫の凝らされた料理には中々できないのではないだろうか。
夫婦で得意不得意を補い合えるのも素晴らしいことだと思う。
『私もそんな運命の人に出会えないかな...』
いつも通り課題だけをして過ごし、ベッドに潜る。
今日もいつも通りの一日に感謝と喜びを握りしめ、
「「天命を与える...偉大なる神の復活を成し遂げよ...」」
1日目。
「はッ!」
目が覚めるとそこは森の中だった。私はどうしてここにいるのか分からない。しかし、わたしならすぐに理解ができる。
「異世界転生だぁ」
歓喜と興奮を全力で抑えつつ、声に漏らす。そして、早い順応を試みる。
「まずは現状の確認...」
記憶にあるのは、やっぱり...
「天命...か。カッコいぃ...」
ひとり興奮を漏らす。
「やっぱり能力とかあるのかな?」
そう言うと、脳内に見知らぬ声が響く。
「
「きゃぁぁ!異世界だぁぁぁ!」
耐えきれずに歓喜の声をあげる。慌てて辺りを見回す。かなり深そうな森の中。自分が目覚めたのは大木の根の真下にできた空間。野生動物の寝床にしてもかなり大きい。大蛇でも住んでいたのだろうかである。
「人でも住んでたのかな?」
自分の体はというと、記憶上何も変わらない高校生の体のままである。
服は着てる。もちろん何の服かも分からないし、この世界でのこの服の価値や意味などはさっぱり分からない。
「私の知っている世界だと...袴?みたいな...日本の侍みたい...」
はたして、これは大丈夫なのかと。変に思われたり、仮に高価だったとしたら身ぐるみを剝がされたりしないだろうかと考える。
『なんて
そう思いつつ真下を見下ろす。
「異世界に来たからと言って胸は大きくならないのか...」
少し寂し気に、そして悔し気に言った。
『どうか神様...私の運命の人は胸の大きさなんて気にしませんように...』
なんて祈ると、心なしか風が強くなった気がした。
「よし...天命か...やってやろうじゃん!」
気合をいれて意気込む。
「...で何すればいいんだろう」
実際、神の復活しか頼まれていないし、どういう神かも分からない。それに、能力という概念が浸透しているのかも分からないし、人間の存在も分からない。ここからどうするか...
「とりあえず...サバイバルか...」
衣食住も揃っていなければ、この世界のことも分からない。とにかく夜を越せるようにしないといけない。
もちろん高校生。知識は皆無じゃない。
「とりあえずここでいいか」と、仮拠点的な場所として目覚め場所、すなわち目覚めた木の真下みたいな根元の空間を選び、焚き火用の木を拾いに回る。ついでに動物がいないかも見てみるが...
「びっくりするくらい動物がいない...」
見つけたところで狩れる自信もないが、今後のために確認しておいて損は無い。が、一切の気配もなく動物はいない。
『これじゃあ、ここに住んでも食料集めには苦戦しそうだな...』なんて思いつつ、食べれそうな木の実などをたくさん集めた。途中、「これはダメだろ!!」
と言っているかのように主張の激しいキノコも見たがもちろん採集はしていない。
「流石にこれじゃあどうしようもないな...」
辺り一面真っ暗で何も見えない。
「能力ってどうやって使うんだろう...」
よくあるアニメやゲームなんかでは、技名や詠唱を唱えることで能力が発動しているイメージがある。もしくは、想像力からの具現化である。そこで...
「火の玉!」
灯がともる気配はない。
「なんでだろう...これじゃ宝の持ち腐れだよ...」
【火】という能力がどこまで宝なのか分からないけれども、なんとも虚しい気持ちになる。
「なにか違うのかな...」
なにか能力の発動条件でもあるのかと色々考えてみる。
「異世界転生あるある?...言語の違い?」
ピンと来たのはそれだった。日本語というのが対応していない可能性がある。
「適当に試してみよう!」
乗り気で想像できる限りの方法を試し始めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます